第4話   凄いことに

夏輝が「俺、魔物を倒してきたよ」と嬉しそうに話す反面、アイリーンが「何ですって?この国のアシュリンを守っているのは私よ?どうしてあなたなんかに、この国を守れると言うのよ」と怒鳴っていた。

チェイスが「ま、落ち着いてください。アイリーン様」とアイリーンの高ぶっている気持ちをなだめた。

アイリーンが「だって、私の活躍する場所がないでしょう?どうして、夏輝だけが活躍するのよ」とご立腹の様子だった。

夏輝が「まぁまぁ、そんなに言うならアイリーンも一人で戦って有終の美を飾ることだな」と偉そうにしていた。

アイリーンが「もう、信じられないー」と涙目になりながら怒っていた。

その時、夏輝の目の前にブラックホールが現れた。

夏輝が「そろそろ帰らないと、母親もいるし、何よりアイツが俺のことを心配しているかもしれない」と那奈や母親の小鳥が待っていると想像した。

夏輝は「じゃーな。アイリーン、チェイス」と挨拶をかわし、ブラックホールは消えた。

アイリーンが「いつも、アイツは良いところで消えるわね?本当に嫉妬しちゃうわ」と横目で悲しそうにしていた。

チェイスが「良いじゃないですか?あんな奴が居ては、アイリーン様の格が下がりますゆえ、居なくなられて良かったのかもしれませんね」とアイリーンに手柄を立てようとした。

アイリーンが「でしょう?あんな奴が居なくなって良かったわよ。本当に」と嬉しそうにしていた。

夏輝は「お、やっと現実世界に帰れた。まともな生活がやっと出来ると思うと嬉しいぜ」と楽しそうに背伸びをしていた。

那奈が「アイツ・・・。しばらく仕事をさぼって何処に行っていたのよ?」と夏輝に聞いた。

夏輝が「聞いてくれよ。まるでRPGな事が起きて大変だったんだ」と説明をするなり、那奈が「はいはい。そんな夢物語な話を誰が信じますか?」と夏輝に対して否定をした。

夏輝が家に帰って来て小鳥が「夏輝、何をやっていたのよ?しばらく電話も出ないから心配したのよ」と小鳥に叱られた。

夏輝が「ごめん。母ちゃん。今帰ってきたところだから、許してよ。母ちゃんの好きなハンバーグを作ってやるからさ」と小鳥に夕飯の食材を買って来て、ハンバーグを作る前に手を洗った。

小鳥が「でも、良かった。元気そうで何よりよ」と夏輝に声を掛けた。

夏輝が「あぁ、こっちこそ、ありがとう」と小鳥に気遣った。

小鳥が「私も手伝うわ。夏輝、ハンバーグがボロボロよ。でも、私のことを気遣ってくれてありがとう」と涙を流していた。

那奈がピンポンとチャイムを鳴らした。

夏輝が「はいはい。あ、那奈。どうしたんだよ?」と那奈に尋ねると、那奈が「その異世界のことを話して貰っていいのよ。私も聞きたいし」と何故か照れていた。

夏輝が「ふふ。だったら、話が聞きたいから話してくださいって聞けばいいのに。まったく素直じゃないね」と笑って居た。

小鳥が「那奈ちゃん。家に来てくれてありがとう。そんな所にいたら寒いから中入りなさい」と那奈を手招きしていた。

那奈が「ありがとうございます。お母様。遠慮なく上がらせていただきます」と小鳥の誘いをありがたく受け取った。

那奈は「で?異世界ではどんなことがあったの?」と夏輝に聞いた。

夏輝が「それがさ?俺が来た時にはアイリーンっていう王女様がデカい城に住んで、チェイスって奴が召使なんだ。そいつらと一緒に戦うことになって、最後に魔物を切り刻もうとしたらアイリーンって奴に倒されて、手柄を横取りされた俺は、アイリーンって奴が嫌いになったという話さ」と那奈達に話をしていた。

小鳥が「ふーん、そんな事があったのね?まぁ、でも仲良くやっているわよね?」と那奈に声を掛けた。

那奈が「そうでもないと思いますよ。普通、手柄を横取りされたら怒りますし」と小鳥の返事に答えた。

小鳥が「そうね?逆にアイリーンさんに内緒で戦った場合も怒られそうだけど」と口をついて出てしまった。

夏輝が「母さん。それ、正解だよ。母さんの言う通り俺もアイリーンに内緒で戦ったばかりに怒られたのさ」と小鳥に返事を返した。

小鳥が「あら、正解と言ったところかしら?」と笑って居た。

夏輝が「全く、母さんは俺のことになるとのんきなんだから」と小鳥の様子を見て微笑んでいた。


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