Chapter4 「推し」の心理効果
「推し」がいることで、どんな心理効果が得られるのか、調査してみた。
そもそも「推し」をどのような存在と見なすのかは人それぞれなので、あくまで参考程度に。
まず、俗に「最推し」と呼ばれる「推し」から。
今気づいたけど「推し」という単語も、俗語なんだよな……。
「最推し」がいることによる心理効果。
自己肯定感の向上:推しがいることで、自分の趣味や価値観を肯定する材料が増える。特に最推しがいると、その存在が自分のアイデンティティの一部となり、自信を持つきっかけになることがある。
コミュニティの形成:推しを通じて同じ趣味を持つ人々とつながることができ、友人関係やコミュニティの一員としての帰属感が生まれる。これは社会的な支えを得ることにもつながる。
感情の投影:最推しに対する思い入れは、しばしば自分自身の感情や願望の投影になる。推しの成功や成長を見守ることで、自分の人生にもポジティブな影響を感じることができる。
ストレスの軽減:推しの活動や作品を楽しむことで、日常のストレスから解放される瞬間を得られる。特に、最推しの存在は、癒しや楽しみを提供してくれる重要な要素となる。
目標設定:最推しを応援することで、自分自身の目標や夢を再確認するきっかけとなることがある。推しの姿勢や努力に触発され、自分も何かに挑戦したくなることがある。
とまぁ、どの「推し」にも関連する内容なので、わざわざ「最推し」とくくる必要性はないかもしれない。
ただ、これらの要素は、「『推し』がいないと感じられないもの」ではない。
と考えれば、なるほど推しがいなくても、これらの心理効果を得られるのだと分かる。
ストレス解消も、百均で売っているスクイーズを永遠にいじり続けたり、クッションを殴ったり、動物の面白い動画や可愛い画像を見たり……などでできる。
「推し」に対する思い入れも、他に考えられる。
自分が大切にしているものや今愛用しているものには思い入れがあるだろう。決して「推し」に限った話でなない。
では、なぜ人は「推し」をつくるのか。
実は、今さっき立てた問題は一概には成立しないことに気づいた。全く時間もかからず。
それは、どういうことか。
端的に言えば「意図的につくられることもあるが、気づいたら『推し』になっていることもある」ということ。
例えば、ストレス解消にある子猫の動画を観たとしよう。それで癒されたその人は、その子猫の他の動画も観始めるだろう。
何日もそれを続けるうちに、いつしかチャンネル登録やいいねもし、他の動画よりもその子猫の動画を観るようになった……。
この人にとって、その子猫は「推し」かもしれない。
そういうことである。癒されたくて観始めた当初は、どの動画でも癒されればよかっただろう。しかし観ているうちに思い入れが生まれ、ついその子のことを考えるようになる。
脳内が塗り替わる、という表現はやや生々しいが。
恐らく「推し」の誕生の根本は、ここにあるのかなと吾輩は思う。
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