Chapter2 「推し」がいることといないこと

 自分にとって「この上なく好きな人やもの」がいることは、生き甲斐になれる。


 人生お先真っ暗になっても、ずっと「推し」の姿と活躍を見ていたいと思えれば、少なくとも生き甲斐になれる。


「推し」の愛おしい姿や活躍を見れること、愛おしい声を聴けること。

 そこに幸せを覚えることができれば、希死念慮があっても、実行に移さなくて済むはず。


 実際吾輩にも、希死念慮、いわゆる死にたい願望があった。

 けれども「推し」がいれば。

 そう思うほどに、気持ちは楽になった。


 そういう意味では「推し」をつくることは非常に賢明といえる。




 けれども、それだけがいいってわけじゃない。


「推し」への感情移入が、ときに自分を苦しめ、むしばむということを知っておいた方がいい。


 アイドル活動中に、隠し子をつくったことがファンにバレて、刺殺されるとか。

 幼き身ながら政変に巻き込まれて、大切なものを失い、殺されかけ、かつて仲良くしていた武士に裏切られるとか。


 二次元では有り得る。

 というか、百パー起こる。そういうシリアス展開が。


 三次元なら。


「推し」の壮絶な過去に感情移入して倒れるとか。

 下積み時代の残酷さ、とか。


 そういうのに感情移入する。

 それが「共感による胸の痛み」で済むなら、まだいい。


 でも、吾輩のように「想うあまり、自身の健康がむしばまれる」のは良くない。


 そうならないため、自分を確立させるために「推し」をつくらない、という道もある。

 これも、とても賢明。


 どちらを選ぶかは、あなた次第。


 注意。

 つくらない→つくる への変換は可能だけれども、

 つくる→つくらない への変換は難しい。

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