第24話:出発

 朧月:「第24話:出発」を12000字以内で執筆してください。

 アルト視点。

 更に数ヶ月が経った頃、火、水、風、土、光、闇の魔法を安定して使えるようになっていた。

 今自分に足りないのは実戦だという思いがある。

 そんな時、魔法使いのガレンと再会した。

 これまでの成果を見てもらい、成長を驚かれ、たくさん褒められた。

 魔法使いから冒険者になって、今までとは違う経験をした方がいいと提案され、帰宅後に家族三人に相談。

 無事冒険者になり、街の外の世界へと一歩を踏み出した。

 物語としてはここで終わりになります。

 「俺たちの戦いはこれからだ!」的な終わり方です。



 ☆----☆


 数ヶ月が経過し、アルトは大きく成長を遂げていた。

 火、水、風、土、光、闇の六属性の魔法を安定して使いこなせるようになり、日々の練習も充実していた。

 あの日、妹や幼馴染を守るために使った魔法からの成長は、自分でも驚くほどだった。

 今では、どの属性でも自在に操ることができ、以前のような不安や焦りは感じなくなっていた。


 しかし、まだ何かが足りないという思いがアルトの胸にあった。

 それは「実戦」だった。

 これまでの練習や訓練だけでは、真の意味での成長には限界があると感じ始めていた。

 実際に世界に出て、自分の力を試し、経験を積む必要があるのではないか――そんな思いが頭をよぎっていた。


「もう少し実戦をこなさないと……このままじゃ、いつまでも足りないままだ」


 アルトは裏庭で、いつものように魔法の練習をしていた。

 目の前に小さな火球を作り出し、それを軽く投げて消滅させる。

 火の魔法の安定感は増しており、無理をしなくても自然に使いこなせるようになっていた。

 それでも、何かが欠けているという感覚が胸を締め付けていた。


「やっぱり、実戦か……」


 その時、ふいに人の気配を感じた。

 アルトが振り向くと、そこには懐かしい顔があった。

 かつて出会った魔法使いのガレンだった。


「おお、アルトか! 久しぶりだな!」


 ガレンは相変わらず陽気な笑顔を浮かべ、アルトに手を振った。

 アルトも驚きながらも嬉しそうに笑顔を返した。


「ガレンさん! こんなところでどうしたんですか?」


「たまたまこの町に用があってな。 ところで、さっきの魔法、ずいぶんと成長したじゃないか!」


 ガレンは感心したようにアルトを見つめた。

 数ヶ月前に出会った時のアルトと比べ、今の彼の魔法の腕前は別人のようだった。

 以前は一つの属性に苦労していた彼が、今では六属性すべてを自在に操ることができるようになっているのを見て、ガレンは驚きを隠せなかった。


「いや、まだまだです。 実戦経験がなくて、自分ではまだ足りないって思ってるんです」


 アルトは謙遜しつつも、実際に自分が感じている不安を正直に伝えた。

 ガレンはしばらく黙ってアルトの顔を見つめたが、やがてニヤリと笑って言った。


「実戦か。 確かに、今の君にはそれが足りないかもしれないな」


 アルトはガレンの言葉にドキリとした。

 自分でも感じていたことを指摘され、胸の中で何かが動き始めるのを感じた。


「だったら、いっそ冒険者になってみたらどうだ?」


 ガレンはそう提案した。

 アルトは驚いたように彼を見つめた。


「冒険者、ですか?」


「そうだ。 君は今、魔法の使い方はしっかりと身につけている。 それに、実戦経験を積むためには冒険者として様々な依頼を受けてみるのが一番だ。 君みたいな素質があれば、きっとすぐに実戦でも活躍できるようになるさ」


 ガレンは自信満々に言葉を続けた。

 彼の提案は、アルトの胸に強く響いた。

 冒険者として外の世界に出て、経験を積み、自分の力を試す――それは、今の自分にとって必要なことかもしれない。

 アルトは少し考え込んだが、やがて頷いた。


「……確かに、それもいいかもしれませんね」


「だろう? 君はもう準備ができてるさ。 さあ、決断するのは今だ!」


 ガレンの言葉に背中を押されるように、アルトは新たな決意を胸に刻んだ。



 ----


 その夜、アルトは家族にそのことを話すために、夕食の後の静かな時間を待った。

 父、ガレルと母、リナはいつも通り穏やかな表情で食卓を囲んでいた。

 ミアも、最近は兄に対して少し優しい態度を見せてくれている。

 アルトは少し緊張しながらも、話を切り出した。


「実は、みんなに相談したいことがあるんだ」


 父と母、そしてミアがアルトに視線を向ける。

 アルトは深呼吸をして、ガレンから受けた提案について話し始めた。

 冒険者として外の世界に出て、実戦経験を積みたいという思いを、できるだけ正直に伝えた。


「外の世界に出て、僕自身もっと強くなりたいんだ。 今までは練習で成長してこれたけど、これ以上は実戦をこなしていかないと……僕はまだまだだって感じてるんだ」


 アルトが言い終わると、しばらくの沈黙が続いた。

 父のガレルが最初に口を開いた。


「アルト、お前がそこまで考えているとは思わなかった。 俺たちはお前が今どれだけ成長しているか、よく見てきた。 それでも、外の世界に出るというのは、決して簡単なことじゃないぞ」


 ガレルの声には、心配と同時に息子を誇らしく思う気持ちが込められていた。

 リナも、心配そうにアルトを見つめていたが、やがて優しく微笑んだ。


「アルトが決めたことなら、私は応援するわ。 でも、危険なこともあるから……無理はしないでね。 お母さんはいつでもあなたを応援しているから」


 リナの言葉に、アルトは少し目頭が熱くなった。

 家族の支えを感じながら、ミアの方に目を向けた。


「ミアは、どう思う?」


 ミアはしばらく考え込んでいたが、やがて小さく頷いた。


「お兄ちゃん、最近すごく強くなったし……外の世界でも通用するんじゃないかな。 でも、ちゃんと帰ってきてね。 私、心配だから」


 その言葉に、アルトは安心した。

 妹もまた、彼の成長を見守ってくれていたのだ。

 家族全員が彼を応援してくれていることを感じ、アルトは強く決意を固めた。


「ありがとう、みんな。 僕、頑張ってくるよ」



 ----


 翌日、アルトは冒険者ギルドに足を運んだ。

 街の外の世界に一歩を踏み出すため、冒険者としての登録を行うためだ。

 ギルド内は活気に溢れ、様々な冒険者たちが依頼を受けたり報告を行ったりしている。


 カウンターで手続きを済ませ、冒険者としての登録が完了すると、アルトは胸に冒険者の証である小さなバッジを付けた。

 その瞬間、自分が新たな一歩を踏み出したことを実感した。


「これで、僕も冒険者か……」


 少し緊張しながらも、アルトはこれからの自分に対して期待を抱いていた。

 これまでの努力が実を結び、これからは実戦の中でさらに成長できるという確信があった。


 外に出る準備を整え、アルトは街の外へと向かうことを決めた。

 家族には、しばらく街を離れることを告げ、彼らから温かい見送りの言葉を受けた。

 ミアは少し寂しそうだったが、それでもしっかりと笑顔で「頑張ってね」と言ってくれた。


 街の門を抜け、アルトは広がる大地を見渡した。

 これから自分が歩む道は、まだ見えない。

 どんな困難が待ち受けているのかもわからない。

 それでも、アルトはその道を恐れることなく、しっかりと前を向いて歩き出した。


「さあ、これからが本番だ」


 背後には見慣れた街が、そしてこれまでの生活があった。

 しかし、アルトはそのすべてを背負い、さらに前へと進んでいく覚悟ができていた。


「俺たちの戦いは、これからだ!」


 アルトはそう呟きながら、一歩一歩確実に、外の世界へと踏み出していった。



 ☆----☆


 お読みいただきありがとうございます!


 「俺達の戦いはこれからだ」ってアルトに言わせるとは思ってなかったw

 そんな感じの終わり方、程度のフワッとしたイメージだったのにwww


 本編としては、ここで終わりです。

 転生して、努力をして、一波乱あって、成長して、旅に出る。

 そういう流れと結末をイメージしていたので、ここまで……ですが、もうちっとだけ続くんじゃw

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