第23話:秘密

 朧月:「第23話:秘密」を6000字以内で執筆してください。

 妹視点。

 アルトが幼馴染からキスされるのを見て、胸がチクリと傷んだ。

 咄嗟に駆け出して自分の部屋に戻り、自分の気持と向き合うが、大事に胸の奥にしまっておこうと静かに決心した。



 ☆----☆


 夕暮れ時、アルトが裏庭で幼馴染のカレンと一緒にいる姿を、ミアは遠くから見ていた。

 いつものように、二人は楽しそうに話している。

 カレンはアルトに対して自然体で、いつも明るく、どこか無邪気な雰囲気を纏っている。

 ミアはその様子を見ながら、ただ静かに二人を見つめていた。


 だが、その瞬間だった。


 カレンが、何気ない仕草でアルトの頬にキスをしたのだ。

 たった一瞬の出来事だったが、ミアの心に鋭い痛みが走った。

 まるで胸の中に針を刺されたような感覚。

 ミアは何が起こったのか理解できず、ただその場に立ち尽くしていた。


「……な、何……?」


 ミアの胸がチクリと痛んだ。

 まるで自分の大切な何かが奪われたような感覚。

 それは初めての感情だった。

 自分が何を感じているのか、どうしてこんなにも動揺しているのかがわからなかった。

 ただ、アルトがカレンにキスされたその光景を目にした瞬間、心の奥が強く反応したのだ。


「お兄ちゃん……」


 ミアはその言葉を胸の中で呟きながら、思わず駆け出していた。

 裏庭を飛び出し、家の中を駆け抜け、自分の部屋へと逃げ込んだ。

 心臓がドキドキと激しく鳴り響いている。

 足が少し震え、手のひらが汗ばんでいるのを感じながら、ドアを閉めた。


 部屋の中は静かで、外の騒がしさがまるで別世界のように感じられた。

 ミアはベッドの端に腰を下ろし、荒れた息を整えながら、先ほどの出来事を何度も頭の中で繰り返した。


「どうして……私、こんなに動揺してるの?」


 アルトがカレンにキスをされた――それはただの頬への軽いキス。

 別に深い意味があるわけではないと頭では理解している。

 カレンはアルトの幼馴染で、長い間兄妹のような関係だったことも知っている。

 それでも、ミアの心はその事実を受け入れられなかった。


「お兄ちゃんが……他の誰かに……」


 ミアは胸の奥で何かがざわつくのを感じた。

 自分でも説明のつかない感情が渦巻いている。

 今まで兄に対してこんな気持ちを抱いたことは一度もなかった。

 むしろ、アルトのことを見下してきた部分もあり、彼が何をしていようとあまり気にしていなかったはずなのに。


「……なんで?」


 ミアはベッドに横になり、天井を見つめた。

 頭の中は混乱していた。

 自分の感情が何なのか、どう整理すればいいのかがまったくわからない。

 ただ一つ確かなことは、あの瞬間、自分の中に芽生えたこの感情は――お兄ちゃんが自分のものではなくなることに対する拒絶だったということだ。


「でも、私は……お兄ちゃんをそんな風に思ってるわけじゃ……」


 ミアは自分に言い聞かせた。

 アルトは自分の兄だ。

 家族であり、血の繋がった存在。

 だから、こんな感情を抱くのはおかしい――そう思おうとした。

 しかし、胸の中の違和感は消えない。

 むしろ、その感情がどんどん大きくなっていくような気がした。


「私は……お兄ちゃんが好き?」


 その考えが頭をよぎり、ミアは思わず目を閉じた。

 そんなはずはないと否定したかった。

 アルトは兄であり、自分にとっては家族としての大切な存在だ。

 しかし、心の中で否定すればするほど、彼に対する特別な感情がはっきりと浮かび上がってくるのを感じた。


「私は……どうしてこんな気持ちになってるの?」


 ミアは自問自答を繰り返しながら、心の中で悩み続けた。

 アルトが成長してきた姿を見て、自分の中で何かが変わり始めたのかもしれない。

 以前は頼りない存在だった兄が、最近は頼もしく見えるようになり、彼が強くなろうと努力する姿を見て、無意識のうちに彼をもっと近くに感じ始めたのかもしれない。


「お兄ちゃんは……変わっていってる。 私の知らないところで……」


 その変化が、ミアを動揺させているのだろう。

 今まで当たり前のようにそばにいてくれたアルトが、他の誰かと特別な関係を築いていくことへの恐怖。

 それが、ミアの心に不安を呼び起こしていた。


「でも、私は……」


 ミアは自分に対して問いかけるように、深呼吸をした。

 この感情をどうすればいいのかがわからない。

 自分がアルトに対して抱いているのは兄妹の絆なのか、それともそれ以上の何か――その答えが見えないまま、胸の中でくすぶり続けていた。


「……私、この気持ちを……しまっておこう」


 ミアは静かに決心した。

 この感情が何なのかを無理に理解しようとするのはやめよう。

 今の自分にできるのは、この気持ちを胸の奥深くに閉じ込めておくことだけだ。

 アルトに対して抱いている特別な感情が、いつか消えることを願って――そして、これ以上自分自身を混乱させないようにするために。


「お兄ちゃんが、誰かを好きになっても……私は大丈夫」


 ミアは小さく呟きながら、自分に言い聞かせた。

 アルトがどんな関係を築いていこうとも、自分はそれを受け入れる。

 そして、この感情は秘密にしておく。

 決して、誰にも――ましてやアルト本人には絶対に知られてはいけない。


「大丈夫……私は、お兄ちゃんを見守っていくから」


 ミアは静かに目を閉じ、心の中でその決意を固めた。

 この気持ちは、自分だけの秘密として大切にしまっておく。

 誰にも知られることなく、ただ兄を見守り、支えていく。

 それが今の自分にできることだと。


 胸の奥に秘めた想いを抱きながら、ミアは少しだけ心を落ち着かせた。


「お兄ちゃん……これからも、私がそばにいるから……」


 ミアはその言葉を胸に刻み、静かに息を整えた。



 ☆----☆


 お読みいただきありがとうございます!


 実はこの内容、「センシティブだよ」ってことで生成されない可能性があったものです。

 ミアが諦める、心にしまい込む、という内容だったために生成されたものですね。

 兄妹間での恋愛感情はセンシティブな内容なので、場合によっては駄目だよって怒られますw

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