第17話:三人

 朧月:「第17話:三人」を8000字以内で執筆してください。

 この話は父親視点になります。

 ミアの要領を得ない言葉をなんとか紡いで、なんとかアルトが倒れたと理解して救出に行ったその夜。

 アルトを自室で寝かせ、妻と娘と三人で話をする。

 あらかじめ幼馴染から話を聞けたため、三人でそのことについて話し、娘にアルトをしっかり見てやれと諭す。

 静かに部屋に戻る娘を見送り、妻と二人で息子の誇らしい姿を思い浮かべながら会話に花を咲かせるのであった。



 ☆----☆


 夜が静かに深まる中、ガレルは家の中を慌ただしく動き回っていた。

 息子のアルトが倒れたという知らせを聞いてから、ただただ混乱と不安が胸を支配していた。

 ミアの口から聞いた言葉はあまりにも要領を得ず、何が起こったのかを理解するのに時間がかかった。

 しかし、ようやくアルトが道端で倒れていることを知り、すぐに救出に向かったのだった。


「アルト……」


 ガレルは息子を抱きかかえて帰ってきた時、胸が締め付けられるような思いだった。

 彼の顔は蒼白で、息をしているかどうかさえわからないほどだった。

 妻のリナもすぐに駆け寄り、息子の体を支えながら不安な表情を浮かべていたが、幸いにも彼の呼吸は浅く、命に別状はなさそうだということが確認できた。


 リナの支えを受けながら、アルトを自室に寝かせたガレルは、彼の疲れ切った表情を見つめた。

 何があったのか、どうして彼がこんなに力を使い果たしてしまったのか、その時点では何もわからなかった。

 ただ、アルトが命を落とすようなことがなかったことに、わずかな安堵を感じた。


「リナ……ミアと話をしよう。 何があったのか、ちゃんと聞かなくては」


 ガレルは妻に静かに語りかけ、二人はその場を後にした。

 家のリビングに戻ると、ミアが不安そうな表情を浮かべて、椅子に座っていた。

 彼女は兄のことが心配でたまらない様子だったが、同時に何かを話すことをためらっているように見えた。


「ミア、アルトが倒れた理由をちゃんと話してくれないか? 何が起きたんだ?」


 ガレルはできるだけ落ち着いた声でミアに尋ねた。

 彼女の顔を見ると、その心の中で何かを整理しようとしていることがよくわかる。

 普段ならば、彼女はすぐに口に出して言いたいことを話すタイプだが、今は違った。

 何かを考え込んでいる。


 ミアはしばらくの間、口を開かずにいたが、やがて深いため息をついて口を開いた。


「……お兄ちゃんが、私たちを助けてくれたの。 カレンと一緒に買い物をしてた帰り道で、ジークが現れて……私を無理やり連れて行こうとしたの。 お兄ちゃんが現れて、魔法を使ってジークを追い払ったんだけど……」


 ミアの言葉は断片的で、混乱しているのが伝わってきたが、それでもガレルは少しずつ全体像を理解し始めた。

 アルトが、妹と幼馴染のカレンを守るために魔法を使い、その結果倒れてしまったのだ。


「ジークが……ミアに?」


 ガレルの眉が険しくなった。

 ジークの名前は聞いたことがある。

 息子をしばしばからかい、意地の悪いことを言うような男だと噂に聞いていたが、まさか実際にミアに手を出そうとするとは。


「そうなの。 お兄ちゃん、すごかった……あんな魔法を使うなんて、今まで見たことがなかった。 でも、無理しすぎて、倒れちゃって……」


 ミアの声には、驚きと混乱が入り混じっていた。

 彼女もまた、アルトが魔法を使えることに驚いていたし、その魔法の力強さに圧倒されていたのだろう。


 その時、リビングの扉が開き、カレンが家に入ってきた。

 彼女は急いで駆けつけた様子で、疲れた表情を浮かべていたが、ガレルとリナに深く一礼をし、すぐに話し始めた。


「ガレルさん、リナさん。 アルトのことで……さっきのことを話させてください」


 ガレルはカレンに席を促し、彼女が落ち着くのを待った。

 ミアの話だけでは、まだ全貌がつかめていない。

 カレンからも話を聞けば、もっと詳しく理解できるはずだ。


「実は……今日、ミアと一緒に市場で買い物をしていた帰り道で、ジークという男に絡まれたんです。 彼がミアを無理やり連れて行こうとした時、アルトが現れて……私たちを助けてくれました。 彼が使った魔法は、本当に凄まじいものでした。 まるで、炎が彼の怒りを具現化したかのように……」


 カレンは、息を詰まらせながらもその場で起こったことを一つひとつ正確に説明した。

 アルトがどれほどの決意で魔法を使い、ミアを守ろうとしたのか。

 その力がどれほど強大であったか、彼が全力を尽くしてジークを撃退したことが、カレンの口から語られた。


 ガレルはその話を聞きながら、胸が熱くなっていくのを感じた。

 息子が、ここまで成長していたのだ。

 魔法を使えるようになり、妹や幼馴染を守るためにその力を発揮した。

 その事実に、誇らしい気持ちが込み上げてきた。


「……アルトが、そこまで……」


 ガレルは小さく呟いた。

 彼がかつて抱えていた劣等感や不安を乗り越え、こうして大切な人たちを守るために行動したことが、父親として何よりも嬉しかった。


「ミア」


 ガレルは静かにミアに語りかけた。

 彼女の目はまだ少し混乱していたが、兄が何をしたのか、少しずつ理解し始めている様子だった。


「お前は、兄さんがどれだけ成長しているのか、しっかり見てやらなければならない。 アルトは自分の力でお前たちを守った。 これからもっと強くなるだろうが、それを見守るのは家族として大事なことだ」


 ミアは少し戸惑ったようにガレルを見つめていたが、やがてゆっくりと頷いた。

 兄のことを今まで理解できず、厳しい言葉を投げかけてきた自分を少し反省しているのかもしれない。


「……わかった。 私も、お兄ちゃんがどれだけ頑張っているのか、ちゃんと見てみる。 今まで、ちゃんと見てなかったかもしれない……」


 ミアの声には決意が感じられた。

 彼女もまた、アルトの成長を認め始めていたのだろう。

 ガレルはその言葉に少し安堵を覚え、リナと顔を見合わせた。


「よし、それでいい。 今はアルトを休ませるのが最優先だ。 これから、みんなで彼を支えてやるんだ」


 ガレルの言葉に、リビングの空気が少しだけ和らいだ。

 ミアは静かに立ち上がり、ガレルに一礼して自室へと戻っていった。

 彼女が部屋に消えていく姿を見送りながら、ガレルはまた胸の中に新たな希望が湧いてくるのを感じた。



 ----


 ミアが部屋に戻ると、リビングにはガレルとリナだけが残された。

 二人はしばらく黙ったまま座っていたが、ガレルはゆっくりと口を開いた。


「アルトがこんなにも成長しているとは、正直驚いたな。 彼が自分から魔法を使って、ミアたちを守るとは……誇らしいよ」


 ガレルの声には深い感慨が込められていた。

 彼が今までどれほど自分を信じられずに苦しんできたかを思うと、今日の出来事は息子の大きな成長の証だった。


 リナも静かに頷きながら、ガレルに寄り添った。


「ええ、本当に……アルトがここまで強くなれるなんて。 きっとこれから、彼はもっともっと変わっていくわ」


 二人は静かに微笑み合いながら、息子の未来について話し始めた。

 アルトがこの先どんな道を歩むのかはまだ分からないが、彼の成長を見守り、支えていくという決意は同じだった。


「今夜は、アルトをゆっくり休ませて、明日からまた彼を支えていこう。 これからも大変なことはあるだろうが、俺たち家族がいれば大丈夫だ」


 ガレルのその言葉に、リナは力強く頷き、夫の手をそっと握り締めた。



 ☆----☆


 お読みいただきありがとうございます!


 うん、カレンから事前に聞いてないですね、これ。

 しかもカレン帰ってないっぽくない?w

 こういうところガバいんだよなぁGPTちゃんw


 幸いにも彼の呼吸は浅く、命に別状はなさそうだということが確認できた

 呼吸が浅いのは全然良いことじゃないぞ???

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