第11話 次のデート相手はまさかの地雷ちゃん………?
それから特に変わったことは起こらず、約束の土曜日がやって来た。レンタル彼氏の初めてのお客様であるレイレナから夜な夜なレインが届いたこと以外何も変わらない毎日。
「それも普通というか何と言うか」
今までとは一味違うはずのそれは何故かスッと日常に浸透されていたんだよね。
違和感なんてまったく感じられないほど自然に。
時計の針が1と2の間に差し掛かる頃。
予めDMで送って来た待ち合わせポイント、隣駅前に到着した。
「これでよしっと」
『着いたよっ』ってセルフィ付けて相手に送り付ける。
「30分空いちゃったし、何して待ってればいいんだろう」
こういうレンタル恋人が題材の主人公たちは皆、空いたこの時間を何かに当てて有効活用してた気がするけど。
経験のなさがこういう時響くんだ。
「イレナの時のこと参考にして待ってれば男の魅力アピールワンチャンないのかな」
最寄りのカフェで待つか近くの椅子に腰かけて本を読むとか?
「………どれも女の子アピールしかならなさそう」
今日のデートコーデはバカ身近なジンの短パンにちょっとフリルがついた上着とカーディガン。
「解せぬマジで。男っぽい格好したいよぉ」
もっと男っぽい服にしたかったけどタンスの中の予備のやつはカジュアル系の女子っぽいコーデしか残されていなかった。
まあ部屋着は幸い真っ黒の中性感あるやつだけどデートにそれ着て来ちゃうことはモラルが邪魔してどうしてもできなかった。
残り僅かな矜持の砦って感じかな。
とにかく。
今の格好でボクの思い描くもっとも正しいデート待ちの作法なんかやってセルフィ撮って送ったりしたら今度こそデートどころじゃなくなっちゃう気がする。
なんなら詐欺だインチキだで即ブロされて炎上するのでは?
「えっ」
デートではしゃぐ心と男らしからぬ己の格好でごっちゃになろうとしたその時、チラッと見えたそれに思考が急停止する。
「………地雷系?」
薄茶色が基調のドレスっぽい上着、真っ黒なミニスカと圧底のブーツ。
地雷系って呼ばれるチャームポイント全てを身に纏う人がそこにあった。
どうして貞操逆転世界に地雷系が………?
怖い物見たさに似た感情でじっとその子を見つめる。
承認欲求のお化け。いわゆるメンヘラしか着ないって印象しかないけど………。
この世界においての男性なんか砂漠の砂利から隕石の破片見つけるよりムズイはず。
なのおにどうして着てるんだろ?
服装は確かに可愛いよね。
「やべっ」
じろじろ見つめ過ぎたせいで目が合ってしまった。
やばいやばいやばいこっち来てる。
どうしたらいいの?
「ねえ」
「ぼ、ボクはそういうのに屈しませんからっ!!」
「いや何に屈しないのよ」
「ってユウミさんで合ってる………よね?」
「は、はい」
ど、どうしてボクの名前が………?
「ってもしかしてDM見てない? あたしも即レスしたんだけどさあ」
「DM………?」
「やっぱり見てないんだ。ショックー」
そのワードに身体が反応しポケットに突っ込めてたスマホを付けたらアプリに1という数字が付けられていた。
確認してみるたら可愛いとしか思えない目の前の女性の自撮りが貼られている。
上半身まで見えるようボクと同じ構図で。
「レンタル彼氏に立候補したユリでーす。この街の女子校、聖リンカ学園の三年生です、よろしくね? ユウミ先輩♪」
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野暮用で更新遅れてしまいました。楽しみにして頂いた方々もそうでない方々も本当にすみませんでした………!!
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