第9話



思考回路ぐちゃぐちゃに加えて頭が真っ白になりただそこに棒立ち状態だったオレだったが、なんでだか分からないが藍沢の顔が突然頭に浮かぶ。そしてその瞬間居ても経っても居られない気分になるが、まず目の前の女性をどうにか帰さすためにも精神統一させ一言その女性に向かって、「今はすみませんがオレ以外誰も不在なので帰って頂けますか?」と伝え帰らせた。



帰らせた直後なんとか外に出られる格好に着替えたオレは、足早に家を飛び出しすぐ隣の藍沢の家を訪れ彼女の様子を確認しようと思うもたった今彼女の親と名乗った女性を帰したばかりのそこに彼女が居るとは思えず、スルーする事にしそのまま歩き続ける。



藍沢が行きそうな場所を思い浮かべようとした時ふと彼女の家の表札の事が頭をよぎり足を止める。変わっていないと思いたいがまさか表札まで変わってるのか?だとしたら先程の女性が突然オレの家に訪問してきたのも納得が行く。



一気に冷や汗が止まらくなり慌てて彼女の家の前まで駆け足で戻り、表札に目を向ける。



オレの目に映った光景に思わず息を飲んだ。何故ならその表札は“藍沢”から“城崎”に跡形もなく綺麗に変化を遂げていた。



____ 嘘だろ…。いつだ…。オレが知らない間に何があった?でも思えばここ最近母の様子がおかしかったと言えばおかしかった。



今はなによりも藍沢が気になる。藍沢…どこに行ったんだよ!




中2の夏、突然昔から親交のあった幼馴染とも

呼べる程の仲だった女の子が忽然こつぜんと目の前から姿を消した。

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