第5話
こんな感覚は人生はじめてだった。今すぐにでも開けて近くでその音を、身体全身で感じたかったがオレの脳内で邪魔してしまうのではという気持ちが働き、開けようと扉に掛けかけた手をサッと下に降ろしギュッと握った。
音を感じたい、奏でてる時の表情を見たい気持ちと邪魔してはいけない気持ちが頭の中で、心の中で、激しく葛藤しつつも彼女の刻む音にオレの心はどんどん惹かれていく。
ただただ外で黙って聴くしかなかったが、よくよく考えたら仮に弾き終わったとして一息着こうと立ったとして辺りを見回した時に外に誰か居たら相手からしたら怖いよな?でも正直まだ聴いていたい、なんならずっと。
色んな感情に揺さぶられつつ、なかなか行動に
出せないでいると恐怖の瞬間は突然訪れた。
なんと立ち尽くすオレの目の前で扉が自動的に右に開かれ、中にいたはずの女性がこちらに向かって歩いて来たならば扉の前に居たオレを見付けてはかなりの大声で叫びはじめたのだ。
「………??!! きゃあああ!!」
____まずい。これは非常にまずい。
でもこのままここを離れたら余計に怪しまれると思いオレが取った行動は __ 。
「ごめんなさい!今は黙ってオレに着いて来て!」
そう言って彼女の手を掴み再び音楽室の中へと戻った。
あーあ、これ彼女にとっては完全に最悪のトラウマ植えるきっかけになったよな。
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