第89話

「 … ごめんなさい 、 」



そう一言謝って違う場所に行こうとしたその時再び彼が今度はこちらに向かって歩きながらこんな事を聞いてきた 。



「 アンタその靴紐の色俺と同じって事は1年 ? 」



この高等部は靴紐の色によって学年が決まっている 。

1年は青 、2年は緑、3年は赤 である 。

よって帆夏の靴紐は青 。たった今質問をしてきた彼も帆夏と同様 、靴紐は青なので1年だ 。



「 … そ 、そうだけど 」



帆夏はとりあえず質問に答える 。



「 ふーん … 、クラスは ? 」



「 … まだ分からない 」



「 は ? クラス表見てねえの ? 」



「 そうだけど ?! 何か問題でもあんの ?! 」



帆夏の声が少しだけ荒れる 。



「 別に 。じゃあさ名前は ? 」



「 ~ ッ !! アンタ一体何なのよ ?! 」



「 俺の質問に答えてくんね ? 」



「 … 星野 帆夏 !! 」



「 ふ 、そこは素直なんだな 」



「 あっ … アンタが答えてくんね って言ったから !! 」



と帆夏が言い返すとその彼の表情は笑っていた 。



「 アンタ面白い奴だな 、気に入ったわ 。

俺は 、1年C組 の 桐谷 千隼 (きりたに ちはや)」



… ん ? 桐谷 千隼 って どこかで聞いた事あるような …

と帆夏が上を見て考えているとその瞬間だった 。

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