第85話

自転車を走らせて数分ようやく学校へと着いた 。

自転車を専用の駐輪場に止め 、正面玄関へと向かう 。



帆夏 、夏樹は中学時に通っていた学校の高等部にこれから3年間通う事になる 。帆夏は見慣れた景色に懐かしさを感じた 。しばらく歩を進めていると誰かに声を掛けられる 。



帆夏に声を掛けて来たのは中学時に良くお世話になった

東雲冬馬 だった 。 彼はこの高等部を卒業後大学へと進学する事を決めて、現在大学2年生だ 。

この学校に居る理由は自分の弟を車で送りに来たからだ。




「 星野 」と呼ばれその声に振り向く 。



「 東雲 … 先輩 … ? 」

何でここに居るんですか!?」



「 忘れたなんて言わせねえからな 。

あー、弟がお前が居た中等部に行くからだ。

ようやくお前もとうとうこの部に来たな」



「 お久し振りですね 、先輩 。

忘れてなんかいませんから安心して下さい 」



「 ならいいが 。どうだ 、新しい制服は 」




「 着心地はとってもいいと思います 。

デザインも凄く好きなので着れて嬉しいです 」



「 ふ … そうか 。良かったな 」



制服は中学時と同じくブレザーなのだが

高等部に上がる時リボンからネクタイへと変わる 。

もちろん男女全員だ 。デザインはチエックが入っている 。帆夏にとってネクタイは憧れだったから尚嬉しかった 。しばらく話しているとするとあいつが突然現れた 。



「 先輩 お久し振りッすね 」



「 お前は … あぁ 、夏樹か 」



「 先輩に下の名前で呼ばれたの初めてッす 」



「 だってお前ら二人共 星野 だからさ 。

彼女の事は苗字 、お前の事は下の名前で呼ぶ事に決めた。ややこしくなるからな 。 」



「 はは 、 なるほど 。」



そこまでは至って普通だった 。

しかし次の瞬間夏樹がとんでもない事を口にしたのだ 。



夏樹は突然帆夏の肩に腕を廻し 、

「 あ 、先輩 今日から帆夏は俺のなんで手出ししないで下さいね ? めっちゃ仲良さげなんで忠告しますけど 」



その瞬間帆夏の額からは冷や汗が零れ落ちた 。

そしてそれを聞いた東雲冬馬は目を見開いた 。

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