お前が好きだ

第58話

「 … え … ? 棗 … 先生 … ? 」




私は棗先生の言ってきた事が受け止め切れず 、




「ヤダ!!離して下さい!!」




と言ったあと自分の体に回された腕を取り払った 。




「一体何のつもりなんですか!?

それに何で急にそんな事言うんですか!?」




「分からないのか ? 何で俺がこんな事言うのか 、

何で突然お前を抱き締めたのか 。 」




「そんなの分かる訳ないじゃないですか!!」




「分からないならいい 。突然悪かった 、

あんな事言った上に抱き締めたりして 。 」




「 … 何ですかそれ … 。

私 もう帰ります !! さようなら !! 」




そう言ったあと 、近くにあった自分の私物を持ち 、

思い切り先生の部屋の扉を閉め 、階段を颯爽と降り 、

玄関の扉を開け取り敢えず外へ出た 。



「 … 何なのあれ … っ … 、しっんじらんない っ … 」



棗先生の突然の意味不明な行動と発言に

怒りを覚えた私はどうする事も出来ずに

ただただその場で泣く事しかできなかった 。



あの人は一体何を考えているのだろうか … 。

突然後ろから抱き締めてきたかと思えば

、どこか悲しげな声で〝 離れんな 〟 なんて … 。




思い出せば出す程何故か分からないが

涙が目から次々と頬を伝って零れ落ちて行く 。




「 先生 … 意味分かんないよ … 。 」




するとそこへまたもや聞き覚えのある声が

耳に入って来た 。 その声の主は ___ …… 。




「だから言っただろ 、後悔するぞ って 。」

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