第57話

重たい瞼を開いた時 、目に入って来たのは

どこかの部屋の天井だった 。

天井であるというのは分かっているが 、

今自分がどこに居るのかはハッキリしていない 。

倒れそうになった後の事はハッキリとは覚えていない 。

でもこれだけは … この感覚だけは覚えている 。




それは … 自分の唇に何かが触れた事 。

行為で言うなら 、 その名も 〝 キス 〟 だ 。

一体誰が ___________ …… 。




しばらく頭で考えていると 、

耳元に聞き覚えのある声がすうっと入って来た 。




「やっと起きたか … 、ここは 俺の部屋 だ 。 」



___________ え …… ?




この声凄く聞き覚えある … 、その声の主の方に

目を恐る恐る向けるとそこには …… 、

私のクラスの担任 … そして … 、私の初恋の人であり 、

今 一番会いたくない人 … 、 棗 京介 先生 だった … 。



逃げようと思い 、何も言わず無言でベッドから

降りてその場を離れようとしたその時だった 。




『ギュッ』




「 ___________ !?!? 」




突然 棗先生に抱き締められた 。

そして棗先生がこう言ってきた 。



「どこ行くの?俺から離れんな 。 」

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