消えない想い

第56話

私は今どこに居るのだろうか… 。

東雲冬馬の口から放たれた言葉が未だに受け入れられず

私は思わずその場から無言で立ち去ってしまった 。

そして今自分がどこに居るのか分からなくなっている 。




ここは一体どこ… ?

辺りを見渡しても人の姿が見当たらない 。

おかしい… 。この時間なら人が居ても不思議ではない 。

私は一体どこに来てしまったのだろうか… 。




とりあえず近くにお店らしきものがないか探すが 、

それらしきものがどこにも見当たらない 。




何故だ… 。ここは都会で有名な東京のはずなのに … 。




私は今違う世界に来ているのか… ?

いや 、そんなはずはない 。

いくらあの場から立ち去ったとはいえ 、

何もかも忘れたくて 、聞かなかった事にしたくて

ただ無造作に走り続けただけ … なのに… 。




未知の場所に着いてどれくらい経っただろうか… 。

そろそろ水が欲しい… と言いたい所だが 、

その水を購入出来る自販機すら見当たらない… 。




さては私は異次元でも見えてるのか … ?

それとも異次元に来てしまったのか … ?




とうとう身体が限界に達したのか 、

視界が大きく右に揺れるのを感じた 。




倒れる… そう思ったその時だった 。




『トサッ』




誰かに抱き抱えられた感覚を身体に感じる 。




目を開けて誰だか確認したいが 、

意識が朦朧としていてか上手く開けられない 。




とりあえず水が欲しい… 、声を出したいが

喉が乾燥で渇ききっていて 、声も出ない 。




〝 私 死ぬのかな … 〟そう思った私は

半目状態だった目をゆっくりと閉じようとした時 、

唇に何か柔らかい感触を感じた 。




そして渇ききっていた喉に潤ったモノが通った 。




しばらくして目を開けると 、

見えた景色はどこかの部屋の天井だった 。

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