第53話

こんなの見られたらきっと止められるに決まっていると

分かっていた私は 、 ブレザーを羽織ったならば 、

再びベッドに戻り 、 布団の中に身を隠した 。



しばらく布団の中に居ると 、 突然枕元から何やら

着信音のような音が聞こえてきたので少し顔を出して

枕元に置いてあるスマホへと手を伸ばす 。



こんな朝から誰からだろうとスマホの電源を入れ 、

ロックを解除し 、 通知欄に目をやるとそこには

驚きの名前が表示されていた 。



そこには 、 〝 星野夏樹 〟と 〝 柊 美鈴 〟の

2人の名前があり 、それぞれからメッセージが

送られていたのだった 。



「あれ…? 私 、2人に教えたっけ… 。」



と首を傾げていると 、 扉から聞き覚えのある

声がこちらに聞こえてきた 。



「…何やってんの 。」



その声の正体は ________ 夏樹 だ 。



この姿を見られたら1番まずい人に見られてしまった

私は 、何も言葉が出なかった 。



「帆夏ちゃんさ 、オレの事避けてるよね… ?

オレ何かしちゃったかな ? もしそうなら… 」



「…してないよ!!!だから気にしなくて良いから!

私が今日学校行った事内緒にしてね!それじゃあ!

私の事はもう本当に放っておいて良いから!!」



そう扉の前に立っていた夏樹に言い放ち 、

机の横に掛けてあった鞄を持ち 、

彼の横を素通りして階段を駆け足で降りた 。



______ やってしまった … 。 どうして素直に

なれないのだろう … 。 相手は夏樹なのに … 。



そんな罪悪感を感じつつ 、

母に気付かれぬように足音立てぬように

玄関まで走り靴を履いて家を静かに出た 。

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