第46話

〝 今度こそ全てを忘れる 〟



そう決心した私は 、 家を飛び出し 、

近くの河岸へとやって来た 。



〝 ここなら誰も居ない 〟 そう思った私は 、

全てを消し去るため 、 忘れるため 、

精神を統一させ 、 思いっ切り叫んだ 。



それもかなり大きい声で 。



「…ハァッ…はっ…、…っはっ…。」



今にも息が途切れそうになる 。



荒れた呼吸を整えようと 、地面に座り込む 。



そうしていると 、 遠くの方から聞き覚えのある

甲高い声がこちらまで響いて来た 。



「ほーーーのーーーかーーーっっっ!!!」



その声に振り向くと 、そこには見覚えのある姿の

女の子がこちらに向かって手を振っていた 。



そしてその女の子がこちらに向かって駆け足で降りて来て 、 立ち尽くしていた私に話し掛けて来た 。



「私だよ!ねぇ覚えてる!? 柊 美鈴 !」



そう 、私の名前を大声で叫んだ女の子の正体は 、

私が小学一年生の時、初めて最初に出来た女の子の友達 で 、 その名も 、柊 美鈴 だった 。


彼女とは、それ以来6年生までずっと同じクラスメイトとして過ごして来たが、卒業式の時にどこの中学行くかと

いう話を夏樹くんと筧くんと私と美鈴ちゃんの4人で

していた時に皆とは違う学校だと言って離れてしまい、

会うのは 、顔を合わせるのはそれ以来だった 。



私は余りの衝撃の再会に言葉が出なかった 。



「…帆夏ちゃん…?」



と美鈴が 、私の顔を覗き込んで来た 。



「…あっ…ごめっ…、ビックリしちゃって…。」



「あははっ!ビックリした?」



「う…うん…。何で私だって分かったの?」



「んー…、立ち姿がさなんとなーく帆夏ちゃんソックリだったからかな!それで 、確認しようと思って 、

偶然持っていた双眼鏡で見てみたらさ 、あの頃の

帆夏ちゃんまんまだったの ! 」



そう話す彼女の口から出た 〝 あの頃 〟とは

きっと 私が先程消し去りたいと願った

〝 過去の私 〟の事であろう 。

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