第31話
しばらくチャリを走らせて、ようやく目的地に着いた 。
チャリから降り、鞄を取って、夏樹と共に校門へ向かう 。
ここは、中高一貫の名門『 私立 星南学園 』。
敷地面積は名門っていう名だけあってかなり広い 。
広過ぎて迷子になりそうなのが目に見える 。
「憧れの星南だ〜。」
と夏樹が正面玄関を前にそう言う 。
「あっ、待って、夏樹くん!
クラス表見て行こ!じゃなきゃ教室辿り着けないよ!」
と夏樹の袖を引っ張り、正面玄関から離れ、
すぐ側に張り出されているクラス表へ向かう 。
「う…うん!」
と夏樹は驚きながらも帆夏に着いて行く 。
かなり全速力で走ったため、2人共息を切らせながらも、
クラス表の前に着き、颯爽と目を通す 。
クラス表を見ると、私の名前を発見した 。
私は、1年4組 。 9クラスある中の真ん中 。
ちなみに夏樹はと言うと … 。
「えーっと…オレは…あった!4組!」
その瞬間私は、夏樹に気付かれないように小さい声で
〝やった〟と拳を握り締め喜んだ 。
「やった〜、帆夏ちゃんと一緒〜!」
と言って、夏樹が私に微笑んできた 。
彼のその微笑みになんだか不思議な感覚を覚えた 。
そして何より嬉しかった 。
これから1年間同じクラスで過ごせる事が 。
すると遠くの方から何やら黄色い声が聞こえてきた 。
『きゃあああ!東雲 冬馬 (しののめ とうま )様よ〜!カッコイイ〜♡こっち向いた!絶対向いたよ〜』
何事かと思い、目線をやると、校門の方から黒髪で
スラッとした高身長で見た目では到底中学生とは思えない外見の男の子がこちらに向かってやって来た 。
その美貌に見とれてしまう程だった 。
私はしばらく目を逸らさずには居られなかった 。
そしてもう1人横に居た男の子にも黄色い声が 。
『あれは、高梨 星名 ( たかなし せな ) 様 よ 〜 !
はあ…何度見ても目の保養よね〜♡2人って。』
その男の子は、先程の男の子とは全く正反対で、
髪は金髪で、両耳にはピアス。それ以外は先程の
男の子と同様、スラッとした高身長だった。
彼も到底外見だけでは中学生には見えない 。
私はその2人を見た瞬間、自分は別世界に
来てしまったんだと感じたのだった 。
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