新たな出会い

第30話

時は4月 。 そして中学生になって1発目の春 。


この春は、世界一大切な幼馴染み 、

星野夏樹と共に迎えた 。


夏樹は、私を後ろに乗せてチャリを走らせる 。


「帆夏ちゃん、しっかり掴まっててね?

さもないと落ちちゃうからね?それじゃあ行くよ?」


「えっ!?」


そう次の瞬間、夏樹がチャリのスピードをあげ始めた 。


「ちょっと!!速過ぎだって!!」


と言った後、私は先程まで緩めていた両手に力を入れ、思い切り彼に抱き着く 。


「帆夏ちゃん…ちよっと痛い…。」


と言う夏樹に、私は〝ごめんっ!〟と言って

少しだけ両手の力を緩める 。


「ははは、冗談だよ。」


チャリを漕ぎながらそう言った 。


「なっ…ばかっ!!」


と広い背中を手の平で優しめに叩く 。


チャリに乗りながら夏樹の広くなった背中を見ていた 。


(こんなに広かったっけ…)


あんなに幼かった夏樹は、気が付けば私の身長を

遥かに超えていて、昔は同じ目線で話したのに

今では見上げないと話せない 。


身体付きだって昔と今では全然違う 。

成長と共に夏樹の身長は、どんどん伸び、

身体付きはどんどん逞しくなっていった 。

まだ中学生だからそこまで変わったかと言われれば

そんなに大きい変化はないが、触れて違いが分かる 。

手だって違う 。 指は長いし、手の平は大きい 。


唯一昔から変わらないのは、優しい声と髪を触る癖 。

この2つは昔から変わらない 。

髪を触るのは照れてる時必ず触ってる 。

けれどきっとこれからもまだ続く成長と共に、

この声も変わってしまうのかな 。

身長だってもっと伸びるかもしれない 。

まあ男子だから間違いなく伸びるし 、

声だって多少は変わるし、身体付きも少しずつ

子供から大人へと変わっていく 。

それは彼だけでなく、中学生から高校生の

間は皆誰しも必ず訪れる事 。


そんな彼の成長に何故だか私の心に

温かいモノを感じ、私は広い彼の背中に

自分の身体を預けた 。

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