存在

第28話

「…夏樹くん…。」


「…帆夏ちゃん、何かあったならボクが聞くから

全部話して全部受け止めるから。ね」


彼 星野夏樹は、今にも枯れそうな萎れそうなそんな状況の私に近付いて来て、そう優しく言ってきた 。


私は彼の身に体を預け、震える声で話始めた 。

事の全てを 。 今の私の状況を 。


「…私にはもう誰も居ないの…。パパもママもお兄ちゃんもお姉ちゃんも。私は捨てられた子なの」


そう彼の腕の中で嘆いた 。 叫んだ 。

感情を全て露わにして 。 思いをぶつけた 。


そんな私を夏樹くんはただただ〝うん〟と優しく頷いては空いている方の手で、抱き締めて、もう片方の手で

私の頭に手を置き、ポンポンとしてくれた 。


「ねぇ、帆夏ちゃん。ボクの家においでよ。

帆夏ちゃんは、ボクが幸せにしてあげる 。」


と抱き締めていた手を離し、夏樹くんが涙で真っ赤になっている私の目を見てそう言ってきた 。


「え…」


私にはその言葉が嘘のように聞こえて、

一瞬把握し切れなかった 。


「帆夏ちゃんは、今日からボクの家族だよ。

もう帆夏ちゃんに悲しい思いさせないから 。

ボクがずっと帆夏ちゃんの傍に居るからね 。

そして、ボク達は今日から…いやこれからもずっと

幼馴染みだからね約束だよ」


と満面の笑顔で夏樹くんはそう言った 。


私は、「約束だよ約束だからね

うわああああああんっ」


と彼に再び抱き着いた 。



その時私は、感じた 、 思った 。

もうこの人なしでは生きられない って 。

この人と共に生きて行こう って 。

この人の存在を一生忘れない 。

この先ずっと … 。忘れる事はない 。

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