第21話

その場所は、辺りには何もなく、人気もなく、明かりもない場所だった 。


「え…何ここ…。何でこんな場所に来ちゃったの…?

え…。怖いよっ…!!ねぇ…美鈴…ちゃ…」


そう美鈴に話し掛けようとしたが、恐怖の始まりはそこからだった 。何と今帆夏の周りには誰も居ない 。


美鈴、夏樹、筧くんの姿はない 。


「え…、何で…?何で皆が居ないの…?

さっきまで一緒に歩いてたのに何で…。

やだよっ!!美鈴ちゃん!!夏樹くんっ!!筧くんっ…!!!」


帆夏はその場所で叫び続けた 。最後には〝ママ〟と

母 沙織の名前を呼んだ 。


しかし叫び続けるも反応はなし 。

それも当然だ 。 ここには彼女以外誰の姿もないのだから 。


〝もう無理だ…〟と思ったその時だった 。


「…帆夏ちゃん…?」


聞き覚えのある声だった 。その声は毎日聞いている声 。

優しい声で、〝帆夏ちゃん〟と呼ぶ声 。

そんなの1人しか居ない 。 〝あの子〟しか _____ 。


そこに現れたのは夏樹だった 。


現れたのが夏樹だと確信した瞬間帆夏は、

彼に抱きついていた 。


「…夏樹くんっ…!!!」


「良かった…帆夏ちゃんの姿が消えたからどこに行ったんだろって騒ぎになってて…。来るの遅くなっちゃってごめんね…。怖かったよね…。」


そう優しく言った後、夏樹は震える帆夏を優しく包み込むように抱き締めた 。


男の子に抱き締められたのは初めてだった 。


その温もりは温かくて心地良いものだった 。


先程まで震えていた感覚が、一気に嘘のように消え去っていった 。


そして一日目はなんとか終わり、二日目を迎えた 。


帆夏の身に起きた事件はこれだけではなかった 。

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