第12話

身支度を終えた帆夏は、最後にトレードマークの黄色い帽子を頭に被り、背中に赤いランドセルを背負い、再び階段を降りて行く 。



階段を降りる前に誰かに呼び止められた 。



「帆夏」



呼んだのは、環だった 。



「…何〜?お兄ちゃん。」



と階段を降りる手前で振り返る 。



「ちょっとおいで」



首を傾げながらも環に近付く 。



すると黄色い帽子を再び被せられた 。



「被り方違ってたぞ」



「ええっ!ホント!?ありがとう!お兄ちゃん!」



と満面の笑みでそう言うと、環は口元を緩め



「うん。学校生活今日からなんだろ?頑張れよ。」



と言って帆夏より先に階段を降りて行った 。



降りていったと思ったその時 、



「あ、良かったら学校まで送ってってやろうか?」



「いいの〜!?あ…でもお兄ちゃん学校分かる?」



と言うと、〝あ〜…分かんねえわ…。〟と返した後降りて行った 。



結局帆夏は1人で学校へと向かう事になった 。



「パパ!ママ!行ってきま〜す!」



と元気良く言って家を後にした 。

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