第60話

屋上へ着いた頃には互いに

酸素切れ間近だった。



「…はっ、はぁっ!

やばい、酸素無くなりそう…」



「…ゲホッ、ゴホッゴホッ!

…ちょっと雅いくら何でも強引すぎ!!

それにサボるってどういうこと!!」



未だ呼吸は乱れたままだが栞は

息を必死に整えている雅に言う。



「…はっ、はぁ!…言ったでしょ、

続き聞かせろって。もう忘れたの?」



「…っ、あ、そうだった…。

でも話す事なんて…。」



栞がそう言うのも無理ない。

何故なら”あの事”を話せば目の前の

大事な幼馴染が傷付くだけで無く、

最悪の場合”絶交”になる可能性まで

嫌でも考えてしまうから。

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