第52話

しばらくして満足したのか晴人は

栞からゆっくりと身体を離した。



晴人は栞の表情が気になり、チラッと

見ると耳まで真っ赤になっていた。



「ふっ…。」



「…!ちょっと!何で笑ってんの!」




「いや別に?わり、何でか知らないけど

抱き締めたくなった。笑った事お前は

気にしなくていい。」




そう晴人はベッド上で放心状態の栞に伝える。

一方で栞は未だ熱が消えない顔を見られたく

ないのか下を向いたまま。



そんな栞に晴人は「…嫌だったよな、ごめんな。

お前の気持ち何も考えずに。」と謝る。



あっ、やばい。また自分を責めてしまう。

駄目。これ以上責めさせたくない。

晴人は何も悪くない。私の心臓が異常なだけ。



そう考え込んでしまった栞は何とか弁解しようと

言葉を発しようとするも、「なんか状態も戻った感じするし家まで送る。お前が着替え終わるまで部屋の外に出てるから終わったら呼んで」



と晴人に遮られてしまい何も言えず。

その一方で晴人はそう栞に伝えると

サッと身体の向きを入口の扉の方へ変え、

向かおうとするが栞が突然晴人の服の裾を

掴んだ事により引き止められる。



「…!? …どした?」



火照りが消えない顔を見られまいと下を向いて

いたはずなのにいつの間にかベッドから動いて

栞は去ろうとする彼の服の裾掴んでいた。

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