Piece 6 / 芽生えた感情

第51話

突然先程まで目の前に居た晴人に真横から

抱き締められた栞だったが恥ずかしさに

耐えられず抵抗しようとするも余りの驚きに

身体が硬直したらしくされるがままになる。



ちょっと待って。何で抱き締められてるの?

晴人にとって私知らない子のはずだよね?



栞が晴人に対してそう思うのに時間は全く

掛からなかった。何故なら幼馴染とは言えども

雅と匠海の事は昔と同様名前で呼んでいるが

栞だけ名前では無く『お前』呼びであったからだ。



栞は何故晴人が突然自分を抱き締めたのかが

知りたくて我慢出来ず、驚きの余り硬直していた両腕を無理矢理動かす事を決め、晴人の身体を押して離れようとしたその時だった。




「…今は黙ってこのままで居させて。」



そういつもよりも遥か優しいトーンで言われ、

栞は激しく動揺してしまう。



「……!? …っ。」



__ねぇ晴人、なんで? どうしてなんとも

思ってないのにこんな事するの?

これじゃあ勘違いしちゃうよ?



そう本人に伝えたいが胸の中に留めてしばらく

抱き締められたまま時間だけが過ぎていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る