第30話 森到着
いきなり集合がかかったかと思うと、授業終了の鐘がなった。
「それじゃあ、後は自由行動というわけで!解散!!それじゃあまた明日!」
ニユニユ先生はそれだけ言い残してどこかへ走っていった。ほかのクラスメイト達も動揺し、ほかの先生を呼びに行く者もいた。
「俺たちは、冒険者ギルドにでも行くか?」
アレンの提案に僕達は頷き、学園を一度出ることにした。
☆☆☆
「ソーマじゃねぇか!ん?学園はどうしたんだ?あ、もしかして退学か?」
「いや、違いますけど?」
僕達が冒険者ギルドに行くとシギルさんに出会った。
「お、この子達がシギルの言ってた子供達ね!私はメルンよろしくね」
「俺はオルガスだ、よろしくな」
僕よりも少し背の大きいメルンさんとシギルさんより一回り大きいオルガスさん…この二人がこの間、言っていたシギルさんのパーティーメンバーだそうだ。
「もう一人いるんだが、今はどこほっつき歩いてるんだか…はぁ、まぁいいか。それより坊主達が暇なら今から一緒に依頼を受けに行かないか?」
「どうする?みんな」
さすがに僕の独断で決める訳にも行かないし、皆に判断を仰ぐことにした。
「あのぉ、さっきから後ろにいるお姉さんはいったい誰なのかな?シギルに聞いてた人じゃないと思うんだけど…」
メルンが言っているのはシラユキの事だろう、みんなには話したけどそれは、学園を出てすぐの事だから冒険者ギルドで会った人達が知るわけがない。
「あぁ、この子はシラユキ…訳あって人の姿になってるんだよ」
「シラユキってソーマの猫じゃねぇかよ…まぁ、事情があるんだろ。依頼はシラユキも来るのか?」
「えぇ、これでも強いので」
「そりゃ、楽しみだ」
僕たちを差し置いて、シラユキとシギルの会話を覗いていると…
「よっしゃあ!飲んだ飲んだ!ぷはぁッ上手いなぁ酒はうまい!」
冒険者ギルドの扉をドンッと豪快に開けてやって来たのは胸の大きな女性だ。身長も大きい。
「ん?何こっち見てんだよクソガキ、あ、シギル達もいたのかよ」
「はぁ、帰ってくるのはいいけど昼から酒は飲むなよな…はぁ……」
深くため息を吐くシギルさんや苦笑いになるメルンとオルガスを見ていると、よくある光景なのだろう、そして仲の良いパーティーだと分かる。
「こいつの名前はシュナだ、見た目の割に可愛い名前だろ?」
「シギルてめぇ、黙ってろ」
シギルさん、シュナさんのことがさては好きだな?まぁ、僕には関係ないから、早くくっ付けとしか思わないけどね。
「シギル、早く依頼を受けてこいって」
オルガスがシギルにそう言うと、シギルは依頼を受けに行くため受付に向かった。
「ったく、シギルもシュナに好かれていないのに早く気づけばいいのに」
メルンさんの衝撃的な発言に驚くも、僕は少し納得した、確かにシュナさんのあの対応は両思いとは言い難い状況だった。それと、くっ付けなど言ったぼくだけどパーティーメンバー同士の恋愛は危険だと思う。
「よーし!依頼いくぞー!依頼内容は、王都を出てから伝える、そんじゃあ行くぞ!」
こうして、僕達はシギルさん達と共に依頼を受けに行く事となった。
☆☆☆
「って、なんでこのガキ共がいるんだよ!?」
そういえば、シギルさん達は僕達が一緒に依頼に行く事を伝えていなかった…そりゃあ僕達のような子供が依頼について行けば邪魔だと思われるだろうな、仕方のない事だ。
「あぁ、伝えるの忘れてたわスマン」
「まぁ、そういう訳なのでよろしくお願いしますね」
そう僕がシュナさんに言ったものの溜息を吐かれてしまった。確かに仕事場に子供がいるのは嫌だろうな…でも僕達も戦えるってことをシュナさん達の目に届けたいな。
何気に道中シュナさんが僕達に対して気を使ってくれており、王都を出る前に僕がストレージを所有していないのを知らないシュナさんが、僕達の装備を揃えるために道具屋に行こうともしていた。
「はぁ、すげぇなソーマだったか?ストレージってのはそんなに収納できるのか、ウチのパーティー来るか?」
シュナさんからの賞賛の言葉を頂きついでにパーティーの勧誘まで受けた。
「ダメですよ!ソーマくんは私達のです!」
僕の所有権は僕にしかないからね…
「そろそろ森に入るぞ!」
パーティーリーダーのシギルさんの言葉に前を向くと目の前には見覚えのある森が見えた、ここは王都に来るために転移できた森だ。
こうして、シギルさんが受けた依頼『オークの討伐』をクリアするために森へ入った。
【あとがき】
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