第29話 人化
アレンとダンの模擬戦が始まった…僕は後ろの方から覗いているが、クラスメイト達が円を書くように広がったからよく見えるようになった。
「オラッ、よっと!」
ダンの使う武器は、両手剣だがアレンの使う武器も両手剣でお互い盾を使わないスタイルで似ているところもある。
アレンが、ダンの攻撃を受け止めるわけでもなく、ただ躱すと、隙を突くようにアレンがダンに斬りかかった。
ダンはアレンの攻撃を剣で受け流そうと試みたようだが、想像以上にアレンの攻撃が重かったようでダンは後ろによろけた。その隙をアレンが見逃すはずもなく、アレンが剣をダンの首筋に当てるとそこで、模擬戦を終了の合図がでた。
「そこまでですよ!ふぅ、アレンさん危ないからあんまり首とか狙わないようにしてくださいね!」
この教師、優しいけど僕の時にはそんなこと言ってくれなかったよな?少し怪しみつつも模擬戦の終わったアレンに駆け寄った
「お疲れ様〜」
「おう、そんなに疲れてないけどな」
本人近くにいるのに、あんまり言うなよ……
もう手遅れだったようでダンくんがこちらを睨みつけてきた。
「チッ」
舌打ちもしてきて、去っていった。
模擬戦もあっけなく終わって、これから何をするのか先生の判断を待つこと数分……
「ニユニユ先生?これから何をするのでしょうか?あのぉ、起きてますか?」
「あ、ごめんボーッとしてた!これから何しようかなぁ?そーだ、グラウンドも空いてたはずだからそこで鬼ごっこをしよっか!基礎体力向上を目的に鬼ごっこ!いいでしょ!先生が鬼をするからね!あと、増え鬼だから捕まった人も鬼だからね!」
急に始まる鬼ごっこに戸惑う僕やクラスメイト達だが、先生引率の元グラウンドに赴いた。
☆☆☆
「ルールをもう一度説明しておくけど、鬼は最初は先生だけだからね!それで、捕まった人も鬼になるっていう簡単なルール時間制限はこの授業が終わるまでだから、後二十分!それじゃあ十秒だけ待つね!」
そう言って、始まった増え鬼…この学園は一限が五十分の授業だから移動合わせても三十分くらいは模擬戦をしていた事になるなぁ。意外と長い時間戦っていてびっくりしている。まだ短いものだと思っていたからね。
「あ、みんなバラバラに逃げる感じなんだね…え、話しながらわちゃわちゃ出来ないのかぁ。授業しっかり受ける感じなんだね…僕も逃げよ……」
こうして僕はぼっちで逃げる事になった。
「うーん、暇だなぁ…だいぶ端っこに来たよ…」
「では、お話でもしましょう?ソーマ様」
僕とシラユキ、ノエル、ノワールの四人での雑談が始まった。
「アリスという、少女についてはどう思われているのですか?」
最初の質問は最近、出番の少ないノワールからの質問だった、もう少しこの子達の活躍する場面があればいいのだけれど……厄介事は嫌だなぁ。
「アリスかぁ、特に思うことはないけど良い表情をしていたのは高得点だね」
「なるほど、アリですか。わかりました」
え、今の答えで何がわかったというのかい?僕はあの表情がいいと評価しただけであってあの子の性格は好きになれないかなぁ。
「じゃあ、次はエルナについて聞こうかな?ソーマくんってエルナの事どう思ってるの?」
「え、特に何も…?確かに好意を抱いていてくれるのは分かってるけど僕は年上の包容力ある女性が好みなんだよ」
「だから私にあの時近づいたの?」
そう、ノエルと初めてであったあの日とても包容力ある女性に見えたから近づいた…って訳では決してない。ノエルからの質問に答えて、最後、シラユキからの質問を聞いた。
「私の事、好きですか?」
えぇっと、口裂け女さんでしょうか?
「すきだけど、どうしたの?」
「異性として好きなんですか?」
そう言われると、なんとも言い難い…恋は種族なんて関係ないって言いたいところだけどシラユキは猫型で僕は人型なんだ。色々と難しいところがあると思うよ。
「じゃあ、人になれたら好きになってくれるんですね?」
「心読めるの…か?」
「ソーマくん、口から全部漏れてたわよ」
ノエル…教えてくれてありがとう。今度から気をつけることにするよ。
何を言えばいいのか戸惑っているとシラユキの体が白く光り始めた。
十数秒ほどたったと思う、その光は形を変えて僕よりも身長が高くなっていった、やがて光が消えるとそこには白髪の美人が立っていた、、
「これなら好きになってくれますか、?」
僕はどう答えたらいいのか分からず立ち尽くしていると…
「お、ソーマさんそこにいたんですか?見つけましたよ!」
「とりあえず、逃げるから!早くこっちに来て!」
僕達は先生から逃げ切った…のだが
【あとがき】
もしよろしければ星を幾つかくださいm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます