第17話 問題?
城壁に備えてある関門へと着いた。
そこで、入国審査を受ける僕達。留学証明書という僕達の通う予定の学園の書類を見せると税金を取られることはなかった。
「おい、止まれ」
入国審査を受けた僕達は、数秒とせずに入国審査を行う人達の上官のような人物が出てきた。
「なんでしょうか?」
僕達を代表して先生が前に出た。本来であれば、僕かアレンの予定だったんだが…スミレ先生が何故か着いてきた為、結果的にこうなった。
「なぜ、税金を払わない?おい!そこのお前何故だ?」
「こちらの方々は学園から払われるようになっております」
僕達を担当してくれた兵士さんが答えてくれた。
「知るかそんなこと!金を払えよ、蛮族なんだろ?嫌なら刃向かってみろよ?そうなれば…どうなるんだろうなぁ?」
刃向かえば、こちらを好きにできるとでも思っているのだろうか?それとも、これがこの国の文化なのだろうか?
どちらが蛮族なんだろうな?
「ちょっと!何を言ってるんですか!?上官そんな事すればタダじゃすまないですよ!?」
兵士さん達はこの光景を見て慌てだした。だが、こちらも我慢の限界というものがある。
それに、最悪の場合は力で解決していいと言われているからどうとでもできる。
「ムカつくわね、精霊女王である私の主を貶すなんて」
「えぇ、貴女に先を越されるのは尺ですが同意です。始原の幻獣を敵に回すというのなら……」
ノエルとシラユキは僕が蛮族と言われた事に対し怒っている。僕らの周囲は二人の放つ魔力で荒れており、上官と呼ばれたその人も慌て始めた。
「ど、どうなってもいいんだな?」
「うるさい、殺すぞ?」
久しぶりに怒った気がする、どうしてもバカは好きになれない…どうしても相手に最低限の敬意を払えない人が好きになれない。
本当に、嫌いだよ。
そして僕は、そいつを殴った。
殴ったことにより、壁に打ち付けられた上官は気を失っていた。
「何事だ!?巨大な魔力が感知されて来たが、何があった!」
騎士の姿をしたエルフと思われる女性が、数名の部下と見られる人達を連れてやって来た。
兵士さん達が、エルフに説明をし始めた。
僕達は、先にどこかへ行く訳にもいかないのでその場で待機することになった。
☆★☆
話し合いも、直ぐに終わったのかこちらへ向かってくる女騎士のエルフさん。
だが、その視線は僕達の誰にも向いていなかった。
「精霊…それも上位……?」
どうやら、このエルフさん精霊が見えるようだ。先生もエルフだけど見えていなかった……このエルフさんが特殊なのか?
「ジロジロ見ないでくれる?精霊を見ることのできる瞳なんて、偶にいるわ少し特殊だから、精霊を信仰するエルフにしかその瞳はないけれど」
ノエルが、教えてくれたので知ることができた。だが、エルフがノエルに手を出そうとするなら……僕は…
「も、申し訳ありません!!」
急に頭を下げる女騎士のエルフさん、
「えっとなぜ謝るんです?それと、名前を教えて頂きたいのですけど」
「私の名前はリズ、この国の第三騎士団の団長をしている。君はなんなんだい?」
なに、と言われても困るが…どう答えれば良いものか。
「ソーマは、私の主よ?精霊女王出ある私と始原の幻獣である彼女の主。龍でもなければ神でもない貴女が、この方の正体を知ろうとするなど不敬極まりないわ」
精霊女王という名はもちろん、始原の幻獣も知られてはいるが伝承が少なく本当にいるが疑われているらしい。ずっと近くにいたから、僕はなんとも言えないけどね。
「す、すみませんでした」
顔を青ざめたリズが再び土下座をした。この国でも土下座は最高位の謝罪のようで、周りの人達は混乱していた。
騎士団の団長が土下座をしていれば、混乱もするだろう。
エルフであるリズにとって、精霊女王という名は大きいのだろう。
それに加え、伝説上の存在である始原の幻獣が目の前にいるのだ。怯えるのも仕方ないのかもしれない。
「その辺にしなよ?僕もそこまで怒ってないからさ」
それに、あの上官を殴れたし僕の為に怒ってくれて満足してたりするんだよね。
「もうぉ!ソーマ君がそう言うなら、仕方ないわね!」
「もちろん、シラユキもありがとう」
「ソーマ様のためですから!」
二人は嬉しそうに胸を張った。無い胸を。
少し問題はあったもののその後、僕達は解放され学園へ行くことになった。
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