第16話 王都へ
セナの気になる店に向かった僕達は、他に気になるお店も見当たらないのでついて行くことにした。
迷子になっても困るからね。
「いらっしゃい!」
店の前に行くと、店主と思われるお姉さんがいた。この店に売っているものは小物で、アクセサリーも置いてあった。
「これ、可愛いわ」
セナが見つめているのは、木彫りの熊さんだ。四足歩行の熊が魚を加えているのではなく、ゆるキャラのような可愛い木彫りの熊さんだった。
「これはね、弟が暇つぶしで作ってたから売ってもいいかって聞いて、いいよって言われたから店に置いてるんだ!」
弟さんは普段は、森近くで薬草採取や魔物の討伐をしてお金を稼ぐ冒険者をしているらしい。冒険者はその名の通り冒険をしてダンジョンや遺跡探索をしたりもするそうだ。
「へ〜これを買うわ」
そう言って木彫りの熊さんを買ったセナと僕達はその店を離れた。
「先生はあそこが気になるます!」
先生が指を差した場所には、茶葉を売っているお見せだった。
「わぁ、沢山ありますね。私も好きですけど、ここまで置いてあるのは初めて見ました」
先生が店主と思わしきおばちゃんに、話しかけ茶葉の話を始めた。
「おやおや、こんにちは。私はね、知り合いが作っているからそれを売ってるだけだよ。お茶は詳しくなくてねぇ」
「私も、あまり詳しくないので」
そう言って、そこにない胸を張った。
「あ、薬草もある」
お茶の置いてある隣には薬草も置いてあり、スミレ先生が茶葉を買うついでに僕も薬草を買った。
ポーションのストックがこの間のスタンピードで少し減ったので、後で作るつもりだ。
そろそろ、露店も終わりが見えてきた。
「ねぇねぇ、アレンあそこ気にならない?」
そう言ってイルミがアレンに紹介したお店はペアルックを扱っているお店だった。
「お、おう。いいな!」
積極的なイルミに戸惑いながらも、嬉しそうなアレンはイルミと共に店へ走っていった。
僕達は、二人をそっと見る為少し離れてついて行くことに。
「イルミ、これはどうだ?」
アレンが、見つけたのは腕輪で赤い石が埋まっている物だった。
いや、石にしては綺麗すぎる…もしかしたら宝石なのかもしれない。
「綺麗だね、アレン…私たちの瞳の色みたい」
そう言って、その腕輪を買った二人。二人が戻ってくると、露店も全て見終わった僕達は一度屋敷へ戻ることとなった。
☆☆☆
「露店はどうでしたか?最初はもっといいお店を紹介する予定でしたが、露店が気になると仰るので…でも、満足しているようで何よりです」
ジルさんは自分の統治する領を見て周った僕達が満足しているのを見て、笑顔で出迎えてくれた。領主としての仕事もあるというのに、有難いことだ。
「それでは、お別れですかね。時間が過ぎるのはあっという間…と言いたいのですが、皆さんと出会ったのは昨日なんですよね…たった二日の出来事が濃いせいで、長い時のように感じてしまいました」
少し、寂しそうに…だが何処か嬉しそうなジルさんとお別れの言葉を交わした。
「それでは、また会いましょう」
そう言った僕達は、屋敷を…そして領を後に次の街へ目指し馬車を走らせた。
しばらく馬車を走らせた頃、
「ねぇ、ノエルさんの魔法で王都かその近くに行けないのかしら?」
セナの言葉にハッとなる一同。
「確かにそうだった…」
ジルさんの所での二日間が濃すぎて忘れていたが、精霊女王のノエルは転移魔法が使えるのだった。
「王都まで行けるよ、ソーマ君達が目立つのも良くないし近くの森に転移させるけどいい?」
「みんな、行けるみたいだけど大丈夫?」
僕の言葉に、おのおのが頷いた。
「それじゃあ頼むね」
そういうと、ノエルが魔法を発動させた。僕達は光に包み込まれた。気がつくと、光は消え去り辺りには先程までとは違う光景があった。
「うん、森だね」
僕らは、王都に近いという森へやって来た。すぐに森の外に出られそうな浅い所に転移したようで、少し遠くに森の外が見える。
少し馬車で移動をすると、森の終わりが見えてきた。
「あれが、王都…」
森を抜けた僕達は遠くに城壁が見えた。城も見えるが遠目な為に城壁の方が目立って見える。
「ふふん、進むよ」
御者を務めるオーグの合図で馬車が再び走り始めた。
☆☆☆
「いやぁ、すごい列が見えるね」
王都のさらに近くに来た僕達は目の前に続く王都へ行く人の数を見て驚いた。数百人は軽くいるように見える。
「あと少しだね」
気がつけば、あと少しで城壁の門をくぐる所まで来た。
【あとがき】
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