第15話 王冠
僕達はエルナが指を差した露店へ向かうことにした。
「うわぁー!綺麗な髪飾り!」
エルナが綺麗といった髪飾りは紫色の蝶でエルナの瞳と同じ色をしている。
「お嬢ちゃん付けてみるかい?」
露店の店主と思われる男性から髪飾りの試着の提案があった、エルナはその提案に元気よく『いいの!?』と言って髪飾りを手に取った。
「う〜ん、上手くつかない。ソーマくん付けてー!」
絶対にわざとだろと言いたくなるほど棒読みだが、エルナから髪飾りを受け取り僕がつけることにした。
「ついたよ」
「ねぇねぇ、ボク……どうかな?」
少しモジモジしているエルナの姿は可愛く、その表情もいい…
「瞳の色と同じで綺麗だね」
エルナは顔から煙がでそうな程に顔を赤らめ両手で顔を覆った。
後ろを振り返ると、アレンとオーグがニヤニヤしていた。
「「ふっ」」
何がふっ、だ。よく見るとスミレ先生もニヤッとしていた。
大量にあるお金で髪飾りを買った僕達は他の露店を見る為にあの場を離れた。
☆☆☆
「ふふん、あそこはどうかな?」
オーグが指を差した先には、不思議な雰囲気を漂わせているお店だった。
「おや?見ない顔だねぇ」
そこの店主は老婆で魔女の様な格好をしていた。店の商品は、
【幸運の腕輪】
使用者に僅かな幸運をもたらす。
【呪いの人形】
笑うクマさん人形。使用者は不快感に襲われる。
いや、置いてるものがすげぇよ。幸運はもちろんだが、呪物まで置いてるのか……
「ふふん、これ…いいね」
オーグが気になった品は腕輪だった。幸運の腕輪とは違う腕輪だ。
【森の腕輪】
使用者は植物魔法を使用できる。
適正があれば、スキルとして手に入る。既にスキルとして持っている者は更なる高みへ至れる可能性がある。
「へ〜強いねぇ、オーグこれは君にピッタリだよ」
オーグは確かに植物を操る、植物魔法のスキルを所持している。更なる高み……楽しみだね、オーグは成長に伸び悩んでいたからちょうどいい品を見つけられた。
「おやおや?鑑定もちかい?珍しいねぇ…そうだ、もし今から見せる者を鑑定する事が出来れば、その品を差し上げるとしようじゃないか」
老婆がそう言って取り出したのは黒い王冠だった。
「『鑑定』」
【覇者の王冠】
嘗て『狂王』と呼ばれた漢がいた、その漢は英雄と呼ばれていた。口調こそ女性だが、性別的には男性の所謂オネェと言われる存在だった。
その漢は、単独で危険度:Sの魔物達の群れを退け国を…いや世界を救った数いる英雄の一人その英雄の名を―――アル―――誰よりも強く誰よりも美しいと賞賛された女性だ。
この王冠は適正者であれば、武器へと変わる。その武器は使用者によって変わる。
「…見えた」
「ほぉ、お主ら英雄の末裔じゃな?」
これを持っていたのだし、そりゃバレるか、と思いながらもどうして知っているのか聞いた。
「昔、あったことがあるんじゃよ。まだ私が少女の頃にね…あの方に私は助けられた。じゃが、これを置いてどこかへ行ってしまわれたのじゃよ……どうしてなのか、それは私には分からない、仮に坊やが適正社であれば君に託したい、どうだい?使ってみてほしい」
僕は、その言葉に頷き王冠に触れた。
「これは…すごいね」
触れた瞬間に、王冠との繋がりができた。一息つく間もなく王冠が変形し始めた。しばらく黒い王冠が姿を変えながらグニャッとしていると、形が定まってきた。
「匕首……なんでだよ…」
匕首、鍔のない短刀で暗殺に使われるような武器だ。刀身は漆黒で、柄の部分は焦げ茶色をしていた。
「これは、この色…武器こそ違えど…私を救ったあのお姉様を思い出すよ…坊や持っていきな」
そう言って店から老婆が消えた。僕達も移動を始めた少し離れ後ろを振り返ると、老婆の居た店は無くなっていた。
不思議な出会いだったが、またどこかで会えるだろうか?それにあの人は絶対に人間じゃなかったなぁ。アルちゃんが生きてた時代って……
ってか、あのアルってアルちゃんなのか?
「まぁ、いっか」
「ソーマくんどうしたの?」
「ソーマ様?大丈夫ですか?」
ノエルとシラユキが少しぼーっとしていて僕を心配してくれたようだ。
「大丈夫だよ、行こっか」
僕達は、次の露店を覗きに行った。
「あそこ、興味あるわ」
セナの目線の先にある露店に向かう事にした
☆☆☆
「そういえば、アルちゃんって昔王冠被ってたけどアレはどこにやったの?」
「…ん〜どこかの村に忘れちゃったわ、あの時は別の武器が手に入ったからねん」
ソウスケとアルちゃんは昔を思い出すように、お城の一室で紅茶を飲みながら話をしていた。
【あとがき】
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