第14話 露店
ここの領主ジル・バルコニアは、前領主が税金に手を出して私欲の為に使っていたことが分かり、代わりとなる文官を送る予定だったがその文官は病で動けないらしく、ジルさんが領主としてこの領を管理することになったらしい。
その為、なにをすれば良いのか分からず兵士長にいつも頼りっぱなしです、と笑いながら言っていた。
「私はこの国の一つだけある辺境伯領の生まれでして、ここの事は今勉強をしている最中なんです」
ジルさんはまだ若くして領主としてこの領地を治めているそうだ。それと、この領地は入れ替わりが今まで激しすぎた為に特に名前がないらしい。
「ここは、辺境じゃないんですか?」
「はい、ここは森には近いですが国に面している訳では無いので辺境伯が居ないので、辺境伯がいる領地が辺境伯領となりますからね」
この国では、国と面している領が辺境伯領となるらしい。
こちらの質問に誠実に答えてくれるので、こちらへの質問も答える事にした。
「僕達は、この国に留学生として通う予定でこの街には偶然通りかかっただけですね」
なぜ、この街に来たのか?そう聞かれたので素直に答える事にした。
「これから、留学ですか……もしかしたら私の妹がいるので良ければ頼ってください。他にもツテが幾つかあるので手紙を書いておきますね」
その日は、領主邸に泊めてもらい明日の朝にこれからの事を話し合うことに決めた。
初めての国外で出会った人だ、できる限り仲良くしたい。あの縦ロールとは違って初めの印象も良ければ、領民達もスタンピードがあったというのに活気を取り戻しつつあった。
☆☆☆
「おはよう。皆は昨日よく寝れた?僕は疲れが取れて、今日の話し合いも捗ると思うよ」
「ベッドがフカフカですぐに寝たぜ!あのベッド貰いたいな。ソーマなら持ち運び出来るだろ?てか馬車の荷物なんでソーマが持たないんだよ」
「あのスキルは珍しいから見せすぎないようにって村長やリサさんが言ってたよ」
ちゃんと人の話を聞いていたイルミがアレンに説明をしていた。
イルミの言う通り【ストレージ】は、かなり珍しいスキルなようで他に所有者を見た事がないらしい。だから、もしバレても【アイテムボックス】と言うようにと注意されている。【アイテムボックス】も珍しいがいないわけではないらしい。
「ふふん、ぼくも元気いっぱいだよ!」
「私もよく寝れたわ」
「ボクも寝れたよ、ふぁぁ」
先生以外のみんなが起き部屋を出た廊下で話をしていた。
「先生は、まだ寝てんのか?いつも通りだな……」
少し呆れながらも、怒ることはなく皆で先生が起きるまで待つことにした。
「おはよぉございましゅ」
目をしばしばさせながら、扉を開け僕達のいる所までやってきたスミレ先生は、まだ寝起きなのか、少しウトウトしていた。
疲れを取るだけでなく、人をダメにするベッド……恐ろしい…
☆☆☆
「それでは、今日はよろしくお願いします」
朝食を頂いたあと、ジルさんと話し合いを始めた。
今日は、会議という程ではないがある程度の予定を決めることにした。ジルさんも手伝ってくれるそうなのでこの国の事について教わるつもりだ。
「それじゃあ、この街を出たあとは何度か街に行ってその後、王都へ行く、そんな感じでいい?」
僕がある程度決めていたやつを皆に教えると、反対する人もいなかったので、今後立ち寄るかもしれない街のことについて聞くことになった。
「そうですね、王都まで行くとなんでも揃っていますがやはり物価は王都の方が高かったりします。他にも街や村によっては特産品ガあるので尋ねてみるのもいいかもしれませんね」
やはり、王都は物価が高いようで長期間生活するには適していなかったりするようだ。
他にする事もない僕達は街に行く事にした。
☆☆☆
「おぉー!店がめっちゃある!!」
僕達がまず来たのは、露店が沢山出ている通りに来た。食べものからアクセサリーまで様々な物が売っているように見えた。
おカネに関してだが、村を出る前にソウスケさんから山ほど貰った。
『昔貰ったやつだけどもう使う予定ないし少しだけあげるよ』
そう言ってジャラジャラと、金貨や銀貨を取り出していたのを思い出した。
「オッチャン!串焼き一つ!」
アルちゃんから、『串焼きは街によって味付けが違うから食べるのはいいわね。他にも美味しいものを食べてくるのよん』そう言って僕達を送り出してくれた。
「おぉー!上手い!イルミもこれ食べて見てくれよ」
そう言って串を渡すアレンだが、それは食いかけだ……気にはしているが頬を赤らめ、嬉しそうに受け取るイルミ。
「うん、おいしい。アレン美味しいね」
そう言ってアレンの食べかけのところから食べていくイルミ。気がつくとアレンの串焼きは無くなっていた。
「次はあそこ行ってみよー!」
エルナが指を指した方向には、アクセサリーが売っているように見えた。
【あとがき】
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