第12話 肉美味すぎ
「デカすぎだろ!?!?」
アレンが大きな声を上げて、僕達も上を見あげると大きな魔物がいた。姿は恐竜に似ており、二足歩行でその体に合わないような小さな手が印象的だった。
「ギャオォォォ!」
その魔物の下には、恐竜より一回り小さなオオカミのような魔物が倒れていた。恐らく、先程の咆哮はこの狼の最後の声だったのだろう。今はもう息をしているようには見えなかった。
「えっと、どうする?」
【ティラノックス】
危険度:S
足の筋肉が発達しすぎで手が小さく見える。
鑑定してみると、こうだ。あまりの大きさにびっくりしており、鑑定内容どころではなかった。
それと、今の僕の声は少し震えていると思う。初めてSランクの魔物に接敵したからだろう。怖くて足も震えている気がする……
「先生に任せてください、ふふふ心配しないでいいのですよ。私は強いので」
そう言って杖を取り出し、ティラノックスの頭へ向けた。
「
杖を掲げてその魔法を、発動した…この魔法の使用後に僕達の不安や焦りが掻き消された、それに辺りからは僕達を奮い立たせるような戦闘BGMが流れ始めた。バフ効果のある魔法なのだろう。
「ふふふ、続けて
すると、ティラノックスの身体が膨れ上がり肉体がその異常な膨らみ方をするせいで破裂した。足を残して上半身が弾け飛んだ。
ティラノックスは、声すらもださず……否、声を出す間もなく死んで逝った。
辺り一面に飛び散った肉片や血液はものすごい量で先生や僕たちはノエルの張った結界によってそれを防いだ。
「ふふん、すごいなぁ」
いつもよりぎこちなく笑うオーグは普段とは違う先生に驚いていた。
オーグだけでなく、僕やみんなも驚いていたと思う。僕は先生から目を離すことができず他のみんながどんな表情なのか分からない。それでも、この光景に驚いていることだろう。
★★★
「うま!ティラノックスだっけ?あれの足が原型をとどめてて良かったな!先生かっこよかったけど普段がアレだからな……」
元々、先生がいる事に気づいた時から危険度:Sの魔物の肉を食べようと話していたのだ。
そして、このティラノックスの味は……よかった。鳥に似ている味だが鳥よりも旨みが凄い。口では説明出来ないような美味さで、スパイシーな味付けが、肉をどんどんと勧めてくる。みんなが口に頬張りながら食べており、その肉の取り合いは戦場のようだった。
「ゴクリッ、普段がアレってどういうことですか!私は普通です!」
「すぐ泣くくせに…」
アレン追撃するのは止めておけ、でないとスミレ先生はすぐ泣くぞ…
もしかして、スミレ先生泣かせて楽しんでるのか?まさか…そんな訳……ないよな?
「アレン、これも食べて?ほらアーン」
イルミは最近アレンがスミレ先生と関わっていると、その間に入るか横からアレンに話しかける事が多い。
嫉妬かな?
「アーン、イルミ自分で食べれるから大丈夫だぜ?ほらイルミももっと食えよ」
そう言って差し出した肉は食いかけで、少し汚いと思うがイルミは顔を赤らめて受け取り頬張った。食いかけの部分から……
スミレ先生を含むみんなが、なんとも言えない顔をしていたり目を逸らしているのが目の端に映った。
やっぱ、アレンはスミレ先生の事が好きなのか?いや、それは無いはずだよなぁ。ココ最近アレント、イルミの二人の距離縮まってるからなぁ……
「二人ともイチャイチャするなー」
少し僕が茶々入れてみると、二人揃って
「「イチャイチャしてない(ねぇよ)!!」」
二人とも顔を赤らめて声を上げた。
これで確信がもてた……恐らく意識しすぎで常に隣にいるイルミのことを直視する事ができていないんだろう。それどころか話せなくなっているのかもしれない。
一方でイルミは、前よりも積極的にアレンに関わりに行っている。
僕は、いや僕だけでなく皆はこの二人を見守るのが幸せで暖かい目をしながらいつも見ている。
★★★
「ふぅ、美味しかったわ」
セナも御満足するほどの肉を食べたところで再出発する事となった。
「そういえば、ソーマ君の精霊って空間魔法使えるんだよね?それで、行ったことある場所に行けれるなら、森の外って……」
なぜ忘れていたのだろう、そうだノエルに頼れば森の外へ行く事は簡単だったかもしれない。
今日は、食べ過ぎたので明日ノエルの魔法で森の外へ行く事となった。
【あとがき】
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