第2話 ラストダンジョン
転生してから3年の月日が経った。特に特筆すべき内容はなかったと思う。強いて言えば魔力について勉強する機会が出来た事と、母さんと一緒に外へ出ることができるようになった。
それと、ママ呼びは卒業したのだよ。
魔力とは体内に存在する魔素の事で、魔素とは大気中に漂う魔力の粒子の事だ。魔素が集まれば魔力溜りとなり放置すると瘴気が溢れヒトに悪い影響を及ぼすらしい。
他にも、この世界にはステータスを見ることはできるが明確な数字表記はなくアルファベットで表されている。よくあるSがAより上のランクというのはこの世界でも適用されているようだ。
「ソーマちゃん、魔法の本を読んでるの?偉いわね勉強して、7歳になるともっとお勉強ができる学校へ行けるわ。本はそこで沢山読めるからね〜」
そう、この村には学校があり村としてはかなり珍しいと思う。これでも前世オタクの僕は異世界の村は学校がないイメージがあった。
それと、この村の人達なのだが鑑定が出来ない……
正確には、名前やスキルは分かるのだがランクが見えないのだよ……
例えば、僕の母さんのウル
ステータス
名前 【ウル】性別 【女】
スキル【魔女】
いや、もしかしたら自分以外の人は鑑定しても体力や魔力量は見えないのかもしれない……
ちなみにこの魔女と呼ばれるスキル以外にも所有しているスキルがある事は何となくわかるのだが、分からなかった。
実力差がありすぎると見えない、これもテンプレだ。それとも別に条件があるのか…?
それと、この魔女というスキルなのだが……
【魔女】
このスキルを所有している女性は、魔法への適正が高く魔法を使いやすくなる。他にもポーションを錬成する錬金術などを使えるようになる。
錬金術と呼ばれるスキルもあるが、なくてもポーションは作れる。その分品質は落ちる。
もちろん、魔女のスキルがなくても魔法を使う事ができるが魔法を操作する繊細な魔力操作はスキルがあればかなり負担は減るらしい。
スキルは生まれた時にしか手に入らないのか?これは父さんに聞いたのだが、努力すれば手に入るらしい。生まれ持った才能、先天的に得られるスキルもあれば後天的にスキルを得ることもできるらしい。
「うん、魔法って面白いね。僕も頑張るよ」
俺、と呼ばずに僕と呼ぶことで前世を忘れようとしている…って訳ではなくて3歳児が俺だと少し不自然でしょ?たからぼく呼びなのさ。
頑張るなどと口にしたのはいいものの、僕は勉強する気などない、出来れば精霊と契約してあとは全部任せたい。できることなら何もせずに暮らしたい。
というのが本心だ。
だが、折角の異世界転生だから俺TUEEEEだけはしてから怠惰に過ごす予定だ。
そして、今読んでいる本なんだがもう三周目に入っている。正直大体の内容も把握したので暇つぶしに読んでいるだけだ。
「ソーマちゃんお外に散歩に行く?」
「行く!」
数少ない娯楽の1つ、散歩た。ワクワクが止まらないね。
散歩道はいつも同じだが、それでも家の中でじっとしているよりかは良いのかもしれない。正直前世の僕は家から出るのは極力控えていたのだが、おそらく肉体年齢に精神が引っ張られて考えや行動がだいぶ幼くなっていたのだ。
「ふんふふふのふーん」
鼻歌を交えながら散歩をする僕、何もしてない訳じゃないのさ。
【石】
何の変哲もない石。誤飲に注意。
辺りを鑑定してスキルの熟練度を上げているのさ。
熟練度をあげると、できることが増えるらしいからスキルを沢山使うのはいい事?らしい。
なるほどね?
両親がそう言うのでそれを信じて色々な物を鑑定して散歩しているのだ。実際、表記が増えたり説明文が詳しくなったりしてるのであっていると思う。
他にも、生き物を鑑定してみたのだが
【鳥】
どこにでもいる野鳥。食べられる。味は微妙?
【鳥】
少し珍し野鳥。探せば意外といるかも?
【不死鳥】
聖獣。世界を見渡すとかなり珍しいが、この村ではごく普通?
はい、聖獣がいました。やっぱ裕福だけの村じゃないようですね。
まだこの紅い鳥…不死鳥と呼ばれる聖獣しか見た事ないが、鑑定をしてみると他にもいるように感じる。
「母さん聖獣ってなぁに?」
「聖獣はね、私達この村の御先祖様達が飼っていたペットとか助けた動物達が何故か聖獣になったらしいのよ?」
へ〜やっぱこの村普通じゃない様だ。
この村のことまだまだ知らない事な多すぎて困る。だがまぁ、楽しいね。
と、こんな感じでちょくちょく散歩に出てはすぎる【鑑定】の熟練度をあげるために頑張っているところだ。
もう1つのスキル【ストレージ】なのだが、このスキルは所謂アイテムボックスなどに似ている。ただ違うところもある、【アイテムボックス】は時間停止、容量無制限などあるが【ストレージ】はそれに加えてゲームのクラフトなどのように素材があればアイテムを作ることが出来る。
だが、今のところ作れるのは品質こそCという微妙なものの薬草と瓶があればポーションを作り出せるし錬金術師顔負けの錬金術を使えるチート野郎の完成という訳だ。
おそらく熟練度が上がればもっと品質のいいものが作れると思っている。
「ウル、ソーマただいま」
僕達が散歩から帰って少しするとグランが帰ってきた。
「グラン、貴方農家なのよ?」
グランが手に持っているのは肉だ、ココ最近肉を持って帰る頻度が多すぎる。備蓄も沢山あるし肉にはこの村では沢山食べられるからそこまで狩ってくる必要は無いのだがどうしたのだろうか?
「あ、あぁ勿論、農業もしているさ。ここのところ魔物が多くて森から動物が流れ込む事が多くなったようなんだ」
【魔物】
体内に魔石と呼ばれる石を持っており、ヒトや動物を襲う。
魔物、これまで聞くことはあれど被害はそこまで出ていなかったようなので少し心配だ。
「おそらく、ラストダンジョンから魔物が溢れ始めているんだろうな」
????????
「え?」
ラストダンジョン?ここは裕福な村で少し聖獣が多いだけの秘境なのでは?
「安心しろソーマ、ラストダンジョンと言っても今は村長が管理しているからそこまで危なくはないぞ」
僕が魔物という単語に怖がっているように見えたのかグランが慰めてくれた。
あの、ここってラスダン前なんですか?
★★★
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