第2話
残念ながら、新庄さんとは別のクラスになってしまった。
俺はB組だが、新庄さんはD組だ。
「なあ、うちのクラスにとんでもない美少女がいるんだよ」
と、入学式の後、穂高が言った。
それが、新庄さんだということは言われなくてもすぐにわかった。
穂高はイケメンだし、きっと新庄さんと穂高は付き合うんだろうな。
なんてことを思ってしまった。
俺と新庄さんとじゃ釣り合わない。
多分、もう二度と話すことなどないのだろう。
○
ああ、ヤってしまった。
新庄さんが帰り、俺は一人ベッドに丸くなる。
今にも罪悪感に押しつぶされてしまいそうだ。
こうなることはわかっていた。
ごめん、穂高。
ごめん、穂高。
ごめん、穂高。
何度も何度も何度も何度も、心の中で穂高に謝る。
もう、前みたいに穂高を見ることはできない。
穂高を見るたびに、今日のことを思い出してしまいそうだ。
俺も新庄さんが好きなんだ。
仕方がないじゃないか。
こうするしかなかったんだ。
あの時、新庄さんが誘ってこなければ俺はこんな思いにならなかったんだ!!
二時間前──
学校から帰ってきた俺はスマホをいじっていると、インターホンが鳴った。
居留守を使おうか悩んだが、やれやれ、と思いながら俺は玄関を開ける。
すると、そこには、
「え、新庄さん……?」
目元が真っ赤に腫れ、鼻を赤くした新庄さんの姿があった。
すぐに泣いた後だということがわかった。
髪は乱れ、服はしわしわになっており、なんとなくだがある程度何があったのか予想がついた。
というかである。
なぜ、彼女が俺の家を知っている?
俺は教えたことがないはずだ。
「あー、うちは入る?」
コクリ、と新庄さんは頷いた。
家の中に入るや否や、すぐさま新庄さんは俺に抱きついた。
「えっ!?」
ふんわりした甘いバラの匂いが鼻に入る。
新庄さんの匂いだ。
「し、新庄さん……?」
ああ、俺は変態だ。
こんな状況下で勃起してしまうだなんて。
俺の馬鹿野郎。
「穂高くんと喧嘩したの……」
ふと、新庄さんが口を開く。
「あいつ、新庄さんを泣かせやがって。今からぶっ飛ばしに行きますね」
「ううん、大丈夫だから……」
「いや、大丈夫じゃないでしょ」
一体何してやがるんだよあいつ。
新庄さんをこんなにさせやがって。
ぶん殴ってやる。
「それでさっき、無理やりヤろうとしてきて」
「新庄さん、やっぱり俺、ぶん殴りに行ってくるのでここで待っててください」
「ううん、やめて」
と、新庄は俺を上目遣いで見る。
ドキッと心臓がなる。
いかんいかん、新庄さんは穂高の彼女なんだ。
いくら俺が新庄さんのことが好きでも、一旦落ち着くんだ。
正気になれ!!
「私が悪いから」
「し、新庄さんは何も悪くない。無理やりヤろうとしてくるなんてそんなの犯罪だ。あいつが悪い」
「ううん、穂高くんの希望に応えられない私のせいだから」
「そんなことない。穂高が悪い」
俺は新庄さんを抱きしめた。
ムニっと、新庄さんの胸を上半身で感じとる。
こ、これは新庄さんのため。
俺の欲求のためじゃない。
と、自分に言い聞かす。
「れ、練習……」
「え?」
「今から優斗くんと練習でシたい」
耳を疑ってしまった。
俺と練習でする?
一体何を言っているのか理解してるのだろうか。
「ダメ?」
ダメに決まっている。
これは立派な浮気となるのだから。
頭ではダメだということがわかっていた。
なのに、身体は欲望のままに動き出す。
「いいに決まってるだろー!!」
指示を出していないというのに、いきなり口が勝手にそう発してしまった。
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