44話 後悔…俺が弱いから
この気配…この人達、業魔の…!
「ちょっと待…ッ!」
その言葉を言い終わる前に…女性と青年が私に攻撃を仕掛けてきた。
「話を聞いて…!」
私のそんな言葉に耳も貸さず…この2人は私に
拳を放ってくる…。
…業魔を抱き抱えたままじゃ避けきれない。
話も聞いてもらいたいのに…、多分勘違い
されてる…私が業魔をこんなにしたって…。
そんな思考を頭の中で巡らせていた私に女性の拳が腹部に突き刺さった。
「ヴッ…!」
そんな嗚咽をしながら私は崩れた建物に激突
した…。
…それでも、私は業魔を抱き抱えていて…
そんな私を見て…業魔の仲間らしき女性は私に
言った…。
「業魔を離しなさい…、離さないなら殺す。」
私を強く睨みながら…。
そんな言葉に私は…。
「話を聞いて…!私は…ッ。」
そんな言葉を遮るように女性はその言葉を
紡いだ。
「暴食の力 第二…、業魔を返しなさい。」
その言葉が紡がれた瞬間…、目の前の女性が
持っていた小石と業魔の位置が入れ替わった。
「ッ…!」
目の前の女性が業魔を抱き抱えていた。そしてその女性は私に背を向けて…歩き始めた。
ここで何もしなかったら…私は生きる。
死なないと思う…だけど、ここで何も行動
しなかったら…、私はもう二度と前を向けない
そんな気がした…だから私は…!
「…待って!業魔を返して…!!」
私がこんな事を言うのがおかしい…そんな事
分かってる…業魔が認めた仲間達にこんな事を言うなんて…おかしいって。
でも…業魔は言ってくれたの!私と一緒にこの世界を…思い出を守ってくれるって…!
一緒に思い出を作るって…!だから私は…。
この言葉を紡いだ。
_______。
「返して…?貴女は何を言ってるの?貴女が
言う言葉じゃない…!!」
「そんな事…私が一番よく分かってる…でも、
私は業魔と約束したの!」
「……しつこい!!」
目の前の女性はそう言って…業魔を青年に
預けて…私に攻撃を仕掛けてきた。
_______。
「業魔…、傷が酷すぎる…。」
「霞…!一回見せろ!」
……一体、どんな無茶をしたらこんな体が
ボロボロになるんだ…。死んでないのが不思議
だ…。
全身粉砕骨折とかの比じゃないぞ…、クソッ、
そんな本格的な治療は自分には出来ない…。
かと言って、普通の医者に任せても駄目だ…。
どうする…。
もう…業魔の生命力に賭けるしか…。
業魔は全身粉砕骨折を1週間で完治していた…、業魔だけ、自分達とは違って自己治癒能力が
高い…だからもうそれに賭けるしかない…。
「
「自分には治せない…もう業魔の自己治癒能力と生命力に賭けるしかない…。」
「嘘だ…。蓮香、業魔は大丈夫だよね……?」
「…業魔の事を信じとけ。自分達に出来る事はそれくらいだ…。」
_______。
…俺は死んだのか?ここは何処だ…?サタンもいない。…もしかして地獄か?いや、それに
しては…辺り一面真っ白だ……。
そんな思考を巡らせていると、脳内に声が
響いた…だけどその声は。
「……◯◯は優しいね。」
この声は…ありえない、こんなの俺の妄想だ。
俺の…都合の良い妄想だ。
でも…妄想でも、信じてみたくて…俺は。
「優しくなんかないよ…。」
そう、言ってしまった。
そんな言葉に…俺の妄想は…。
「ううん…優しいよ。昔と変わらず優しい。」
「妄想のくせに…何で、何でそんなに似てるん
だよ…。」
「……何回でも言うよ、優しい…。」
そんな俺の妄想は…一拍を置いて言った。
「◯◯の優しさで…あの子は救われてたよ。」
「…ただの偽善だよ……。」
「それも優しさだよ…。」
「………。」
「…でも、あの子今とても大変そう…。」
「え…?」
「◯◯の仲間に誤解されてるみたい…。あの子は◯◯の仲間だって気付いているみたいだけど
◯◯の仲間はまだ気付いてないみたい…。
このままじゃ◯◯の優しさに救われたあの子が
死んじゃう…。」
「萌乃…!」
俺が弱いせいで…!俺が意識なんか失ってるから!俺のせいで…!萌乃が死んじまう…!!
いや、萌乃が死ぬだけじゃない!真実を知ったあいつらも…、全員が不幸になっちまう!
俺のせいで…!!俺が最初から萌乃に悪魔の事話せておけばよかったのに…あいつらは自分で責任を負おうとするから…クソッ!俺が
弱いから…全員が!!
そんな荒れた思考を鎮めるように…俺の妄想は言葉を紡いだ。
「萌乃って言うのね…、◯◯…どうするの?
萌乃ちゃん…助けに行かないでいいの?」
…もしかして、俺を起こす為にあんたは俺に
妄想として話しかけてくれたのか…?
それならあんたは俺の妄想なんかじゃなくて。
いや、そんな事考えてちゃ駄目だ。
そして俺は…。
「ありがとう…俺助けに行かなきゃいけない…だからさ次は皆で会おう。じゃあ行ってくる…
じゃあ、またね母さん……。」
そうして俺の意識は現実に戻っていった。
「うん…そうだね。次は家族全員で……。」
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