33話 後悔のない選択を
ビルの屋上で街を眺めていた俺と由梨の元に、霞と蓮香が来た。
息も絶え絶えで…、俺が病室から抜け出したから急いで探したんだろうな。
そんな2人に対して俺は…。
「お前ら、やっと来たか。」
「そうじゃないよ!病室戻るよ業魔!」
「そうだぞ、一応さっきまで全身粉砕骨折してたんだからな。」
「別にいいだろ?もう治ってんだからよ。」
「そう…だけど。」
「霞、そんな心配すんなって…、大丈夫だ。自分の事は自分がよく分かってる。俺はもう…、大丈夫だ。」
「そんなに言うなら…。」
「蓮香、お前も心配なら視てみろよ。」
「………さっきも視て分かってた、けど何で
治ってんのかなぁ。」
「よし!なら大丈夫だな?じゃあ…此処を離れるぞ!」
俺はそう言って、駆け出した。
そんな俺に、3人は着いてきて…少し微笑みが溢れながらこの街を離れた。
_______。
「……お前ら勘違いしてないか?」
そうして俺は一拍を置いて言った。
「こんなとこに着くなんて俺も思ってなかったんだ。」
そう…俺達が辿り着いた街は、
まぁなんというか…そう。仲間同士で来る場所ではないな。
【ラブホ街】 現在の時刻…21時
「業魔…私言い訳は聞きたくない。」
「おい。」
「業魔…僕も庇いきれない。」
「だから、おい。」
「男ならそういう欲求もあるもんな!」
「蓮香…違う。」
そうして、由梨が俺にその言葉を告げた。
「変態。」
そんな言葉に俺は……。
「……お前ら…、死ぬ覚悟は出来たんだろうな!!!」
そう言って3人を追いかけ回した。
_______。
……逃げられた。あいつら逃げるの上手すぎないか?まさか逃げられるとは思ってなかった。あーイライラする。勘違いされたまんまなのは癪に障る…どうにかしてあいつらの
勘違いを正さないと気が済まん…。
にしても、ここは騒がし過ぎる。
まぁそのおかげで、普通に街を歩けるんだけど
…な。だけど、人通りが多いと自由に歩ける分中々にうざいな…。
五月蝿いし、それに目がチカチカする。
卑猥な女がそこらで誘惑してるし現に俺も今…知らない女に話しかけられてる。
「あのぉ…、少し酔っちゃって…それにきつくて…肩、貸してくれませんか…?」
「悪いが他をあたってくれ。俺はお前みたいに誰かを騙して誘惑するほど暇じゃないんだ。」
そうしてその女の顔も見ずに立ち去ろうとした
その瞬間…、女が泣き声が辺りに響いた。
「うぅ…酷い!ほんとに酔ってるのに…きついのに…!!何で助けてくれないの!?ほんとに辛いのに…!!」
辺りからヒソヒソと俺を罵倒する声が聞こえてくる…俺に視線が集まる。
…クソが、俺の事見てる暇あんなら俺の代わりに女に肩貸してやれよ…!あぁ…もう!
そうして振り向き…女に肩を貸す為に女を見た…その瞬間、俺は見てしまった。
この女は悪魔に寄生されている。しかもただの悪魔じゃない…。
見ただけで分かってしまった。何でこの街に来るまでに分からなかったのかが不思議なくらいだ…、由梨…霞…蓮香と俺のオーラに隠れていて見えなかったんだろう…。
こいつは悪魔王の器だ…!
アスモデウスか、レヴィアタンか…どっちだ。
あぁクッソ!分かんねぇ…。
ここじゃ…悪魔王についてなんて聞けねぇ…、はぁ…ほんと、偶然もここまで来ると怖いな。
そうして俺は、女に肩を貸して女が落ち着ける場所であり…あまり人通りが多くない場所、
そこまで移動させた。
「ありがとう御座います…、ほんとにきつくて…。助けてもらって…。」
「礼は良い。それより話が…。」
俺がその言葉を言い終わる前に女は言った。
「あの…、食事行きませんか?奢ります!!」
「いや、それより…。」
「行きましょう!美味しいお店知ってるんです!!」
そう言って女は俺の手を引いて歩き始めた。
…ここで手を振り払って、悪魔を寄生させているな?と、事実を突き付ければ良かったと…。
俺は強く後悔することになった。
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