18話 見てしまった責任
僕とその男は向き合って…瞬間、同時に動き出した。
拳と拳がぶつかり合う。
その衝撃で辺りの仕掛けや照明が吹き飛ぶ。
そうして僕は叫んだ。
「……本当に、戦うしかないんですか?」
「俺は、死にたくないんだ!!!」
そう言って男は矢継ぎ早に拳を放って来る。
僕はその拳の全て避けながら話を続ける。
「僕は本当に爆弾の解除方法を知ってます!だから僕に任せて下さい!」
「黙れ!!」
「何がそこまで貴方を戦わせるんですか!?お願いです!落ち着いて下さい!」
「黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!!」
……、これは…攻撃の速度が増してる!?少しずつだけど確実に早く…!
「…ッ!」
避ける事に徹していた僕に初めて拳が当たった。
少しよろけたその瞬間に男は僕との距離を更に詰めて拳を放ってきた。
拳が眼前に迫って来る…そうして僕は。
超能力を使った。
「超能力・怠惰の力 第一!」
怠惰の力 第一
相手の感覚を強制的に1つだけ奪う…。
僕が今、男から奪った感覚は…視覚。
視覚を奪ったのは一瞬だったけど僕を狙う拳が少しズレた!!
そうしてその拳を避けて、僕は男の背後に周り背負い投げた。
男は床に叩き付けられて、もう一度気絶した。
意識を失ったその男に僕は超能力を使った。
「怠惰の力 第二…。」
この力は相手の記憶や経験を奪う力だけど、実はそれだけじゃない。記憶限定だけど、奪ったその記憶を覗き見る事が出来る。
_______。
「貴方がベルフェゴールの器を殺せたら解放してあげますよ。」
「ほ、本当ですか?」
「はい、僕は嘘をつきませんから。ですが殺せなかったら…分かってますよね?貴方の家族は全員あの世に行く事になります…。出来ますね?」
「は、はい!絶対失敗しません!!任せて下さい!」
「話は終わりです…行って下さい。」
_______。
「一応、保険は掛けておきますか…。」
次の瞬間、途轍もない痛みが全身を襲った。
???!?!?!???
…なん、で…!記憶から僕にダメージを与えられるんだ!!
そうして僕は痛みに悶えて、うずくまった。
その後数分間、その痛みは続いたが、僕は立ち上がり、男に巻き付けられている爆弾を全て解除した。
そうして目の前で気絶している男を横目に僕は歩き出した。
そしてお化け屋敷から出て、僕は跳躍した。
建物と建物を一般人じゃ視認出来ない速度で跳躍しながら僕は2人を探していた。
いや、僕が探していたのは2人ではなく、記憶からダメージを与えてきたあの男。
2人がもし僕と同じように戦っているのなら僕が対処しないといけない。
見てしまった責任が僕にはあるから。
さっきまで僕が戦ってた人は家族を人質に取られてた。だから僕を殺そうとしてきたんだ。
見てしまったからには…、僕が勝ってしまったからには…あの人の家族が殺されないように、僕があの記憶の中の男を倒すしかない!
ごめん2人とも!ここからは僕1人でやらないといけない!!
そうして、その男を倒す為に移動し続けるのだった。
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