13話 決まった目的

翌日、学園に向かうと俺と生徒会長が戦うという話で持ちきりだった。



…はぁ、あいつ言ったのか?



そう思考しながら、教室の隅で


“ぼーー”


っとしていると生徒会長が話しかけてきた。



「一応言っとこうと思って…、これは僕が言ったわけじゃないからね…。」


「そうか、どっちでも良いわ。」


「そうだね。じゃあ、また後で。」



そうして、朝のホームルームが始まった。



“数時間後”



実践訓練の時間になった。


校庭に出ると生徒会長と数百人の外野が俺を待っていた。



「随分、観客がいるんだな。」


「皆僕が勝つ所を見たいみたいなんだ。」



「…それなら始めるか。観客を待たせるのは一番白けるしな。」


「そうだね…、でもちょっと待ってね…。」



瞬間、そいつは言葉を紡いだ。





「超能力・怠惰 第二の力」


「なにしやがった。」


「少し、皆の記憶を貰っただけさ。なんで戦うのか…悪魔は寄生させない…とか、ね。悪魔の力が使えた方が僕達にとっては好都合でしょ…?」


「そうだな、でもいいのか?お前が負ける可能性が高くなっただけだぞ。」


「負けないから。じゃ、始めよっか。」



瞬間、俺とそいつの拳が衝突した。



衝突した衝撃で、俺達は後方に吹き飛んだ。



そうして、お互いが同時に超能力を発動した。



「超能力・傲慢 第二の力」

「超能力・怠惰 第二の力」



「石ころ程度でも、その数は対処出来るか?」


そうしてそいつ目掛けて飛んだ数百の石ころはそいつの体に触れる前にピタリと止まった。


「命令の主導権を奪ったか。」


「正解、これ全部貴方に返すよ。」


そうして数百の石ころは俺目掛けて飛んできた。


その全てを拳で打ち落とし言った。


「この程度で俺がやれるとでも?」


「思ってなかったよ。」



一拍を置いて、そいつが言った。



「じゃあ、もう眠いし…終わりにしてあげる。」











「超能力・怠惰 第五の力……貴方の欲、僕にください…。」


「っな…!」



この力は、サタンから聞いた…刻まれた罪や欲を奪う力…!



(やられた…、まさかここまでの練度に達しているとは…。)


(どういう事だ…!)


(貴様という存在を拡大して考えたのだ。)


(は…?)


(貴様が我の力で操ったあの石、それも貴様という存在で捉えられたのだ。)


(んな馬鹿な事…。インチキじゃねぇか…。)


(今回は…相手が悪かったとしか言えんな。)



…瞬間、小僧と我が話されていく感覚が全身を襲った。


そうして、我は言った。



(小僧、ベルフェゴールが敵ではなくてよかったな。)


引き剥がされるまで残り“二秒”



…使うべきか?今、改変の力を…だが、使わなかったらこのまま負け…。あいつが素直に協力するって言えば楽だったのによ…!


その瞬間、思ってしまった。


…別に俺はゲートを開けたい訳じゃない。目の前のこいつもだ…。なら、別に負けていいんじゃないか?また、いつも通りのあの日常に戻っていいんじゃないか?



いや、違う…。俺はゲート関係なく、こいつに勝ちたかった筈なんだ…。こいつは昔の俺に少し似てたから…。




誰とも関わらない…、一人で全部背負って…強がってる…ただの寂しがりやだ…。


なら俺がやる事は…?




残り“一秒”




「超能力・傲慢 第三の力…俺が望むのはこんな現在じゃない。お前に勝つ、それが俺の望んだ現在“いま”だ。」


改変するのは…最初からだ。




何も定まっていなかった。ここまで成り行きで来ただけだった。目的なんてものは無かった…だけど、今出来ちまった。



こいつを一人にしない…その為に仲間にする。


仲間を作らせる、ゲートを閉じた奴を探すのを目標に…その過程でこいつに仲間の大切さを教えてやる。


俺って案外、お節介なのかもな。


………もうやり直しが効かない俺がお前をやり直させてやる…。



お前はまだやり直せる段階だから…な。



そうして、数分前まで戻る…。



「負けないから、じゃ、始めよっか。」


「あぁ、始めよう…。第二ラウンドだ。」














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