12話 傲慢の王…最強たる所以

(見えないって、どういう事だよ…。)


(すぐに理解しろ…貴様が見えて我には見えん。それが意味するのは貴様が言った生徒会長がベルフェゴールの器という事だ。)


(じゃあ…本当にベルフェゴールがゲートを閉じた奴と協力してるってことかよ…。)


(そうとしか、考えられんだろう…。)


ベルフェゴール…貴様、本当に裏切ったのか?



………今、話し掛けるべきだろうか?今この瞬間を逃せば後がないかもしれない。…行くか。



そうして、俺は生徒会長の元まで歩き…目の前まで来た。


そして、生徒会長に俺は言った。


「少し…いいですか?」


「うん…いいよぉ。」


俺は生徒会長を連れて、人がいない学園の裏門まで来た。



「で、何の話…?サタンの器、さん。」


「気付いてたのか…。率直に聞くぞ。お前は敵か…?」


「敵…か。うーん…、敵ではないよ。でも貴方に協力するつもりもない。だからじゃーね。」



そうして、そいつは立ち去ろうとした。


敵じゃ…ない?ただそれが本当の事でも…。



「立ち去る許可をした覚えはない。戻れ。」


と超能力を使った…、生徒会長は俺を見もせずに言った。


「僕に言ってるんなら無駄ですよ。僕、貴方より強いので。」




そう言い残して歩いて行く…。



その背中にもう一度言った。


「明日、実践訓練の時間俺と勝負しろ。負けたら協力してもらう。逃げんなよ?俺より強いんならな。」


「なんて身勝手な…。その勝負乗らなかったら?」


「そんな選択肢はない。お前にあるのは俺と戦う…それだけだ。」


「……分かりましたよ、貴方こそ…逃げないで下さいね。」



そうして、俺とそいつは背中を向けて歩き出した。



…裏門から出ても良かったよな?




帰りは電車ではなく、走って帰った。その方が断然早いから。



電車で一時間の距離なら走って10分も掛からない。


そうして家に帰ってきた俺は疑問に思っていた。



…ただの生徒ならともかく、教師は生徒会長が悪魔を寄生させてる事くらい分かれよ。


その言葉にサタンが言った。


(貴様が悪魔のオーラを見れるのは我のおかげなのだぞ。感謝しろ。)


(急になんだよ。かまってちゃんか?)


(……貴様は悪魔を寄生させておけば、誰でも悪魔のオーラが見えるようになる…そんな勘違いをしているようだな。)


(違うのか?)


(悪魔のオーラを見れるのは我等七つの大罪とその直属の眷属、ソロモン72柱の内…数体だけだ。数にしたら15もいないだろうな。)


(…そんな少ないのか。)


(それより、どうするのだ明日。このままでは貴様は大敗だぞ。)


(そこまでか?)


(貴様ら人間はどこまで悪魔に対して無知なのだ?)


(どういう事だ…?)


(我等悪魔は自分自身と同じ罪や欲を抱えている人間にしか寄生出来ん。それは以前説明してやっただろう…?)


(あぁ、懇切丁寧にな。)


(もう1つあるのだ。悪魔は同じ罪や欲を抱えている人間に寄生すると、人間との同調が始まる。端的に言えば、寄生した悪魔と人間の性格や思想、考え方が似ていれば似ている程、悪魔の力を引き出せるのだ。)


(そうなのか。)


(そうなのか。ではない、貴様どうするつもりなのだ。ベルフェゴールとその器はかなり同調していた。引き出せる力も貴様の比ではない。

このままでは貴様、大敗だと言っているのだ。)


(そんな事言われてもな…あいつ、気に食わないんだよ。)


(はぁ……。明日、戦うのならば教えてやろう。我の傲慢の力 第三を…。)



そうして教えられたその力は…今までのものとは比にならなかった。











傲慢の力 第三

自分自身に都合の良い現実以外の改変、絶対に負けることのない力…。


だが、肉体が耐え切れない…からこそ…。



使用限界 一回…。




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