11話 最悪…かもしれない
学園に潜入する前日…、俺は考えていた。
…学園は誰でも、それこそいつでも入れる。悪魔を滅する、その気持ちさえあれば…。だけど…。
学園に入学した段階じゃ、まだ悪魔を寄生させない…。
悪魔を寄生させてる事がバレたら余計面倒くさい事になるぞ…サタンの力を使わずに、ベルフェゴールの器を探さなきゃいけないのかよ…。
「…はぁ、めんどくせぇ。」
結局、その言葉を零してしまった。
翌日、朝6時頃に俺は家を出た。
俺が今から向かう学園は滅悪教に入る為に必ず行かなければならない学園。そんな学園だか、規則という規則は存在しない。
だから、私服でいい、年齢は…20歳までしか駄目だ…けど、俺はよく言って童顔らしい。
そう思考しながら電車に揺られているとアナウンスが流れた。
「次は、滅悪学園。滅悪学園で、御座います。」
そのアナウンスを聞いて俺は…。
…もう着いたのかと思ったが、スマホに7時と表示されていた。どうやら一時間も経っていたらしい。
そうして、俺は電車を降りて学園まで歩き出した。
10分程歩き、学園の正門に着いた俺はそこにいた警備員らしき男に話しかけた。
「先日、入学の旨を連絡した業魔ですが。」
「あぁ、君が…業魔君ね!俺に着いてきてくれるかい?」
「分かりました。」
…はぁ、人に敬語を使ったのはいつぶりか…。
そうして俺は学園長室に案内された。
「君が、業魔君かな?」
「はい。」
「ようこそ、滅悪学園へ。先日報告を受けたが、君は今19歳で一ヶ月後には20歳だそうじゃないか。この学園は20歳になったら強制的に卒業だからね。一ヶ月しか通えないけどいいのかい?」
「まったく問題ありません。この学園で学んだ事を活かしていくつもりなので。」
「君がいいなら、いいんだよ。では、これから一ヶ月よろしくね、如月業魔君。」
如月業魔、まぁ偽名だ。一ヶ月しか通わないしいいだろ。
そうして俺は学園長室を後にして、教室に案内された。
「今日からここが君のクラスだ。皆と仲良くするように。」
そうして案内されたクラスはこの学園で最上位と言われているクラスだった。
入学したばっかの一般人(サタンの器)を最上位って言われるクラスに入れるとは、ガバガバじゃないか。
にしても、やっぱ歳下ばっかで慣れねぇな。
その後、授業やら実践形式の訓練やらがあり、いつの間にか放課後になっていた。
…1日目じゃ、ベルフェゴールの器は見つけられないか…。
帰るか…そう思考した瞬間、大勢の声が響いた。
「生徒会長だ!!」
その声が響いた方を見ると、1人の小柄な青年がいた。
だるそうに廊下を歩く、その青年と一瞬だけ…目が合った…その瞬間、俺は見た。
その強大な悪魔のオーラを。
…これは。
見えたのは、この学園を簡単に包んでしまっているこのオーラ。ここまでのオーラを俺はこの目で見たことがなかった。
瞬間、ここでサタンが言っていた1つの言葉を思い出した。
…我等七つの大罪が纏っているオーラはこの街を包む程度のデカさ…。
その言葉を思い出し、再度辺りを見渡すと…この学園だけではなく、あの生徒会長のから出ているオーラは街にまで広がっていて、オーラの終わりは俺には見えなかった。
(サタン…!おい、サタン!)
(ギャーギャー騒ぐな。なんだ小僧。)
(お前、気付いてないのか?)
(何がだ。)
(あの生徒会長から出てる悪魔のオーラがデカ過ぎるんだよ、ベルフェゴールの器ってあいつじゃないのか?)
(なに…?)
そこから少しの沈黙の後、サタンが言った。
(最悪の事態かもしれん。)
(どういう事だ…?)
(我にはあの小僧から出ているというオーラが見えん。)
(は…?)
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