九話目 暴食が暴食たる所以
“業魔と由梨が分かれた直後”
(ベルゼブブ…詳しく説明してくれる…?)
(何のことかなー)
(とぼけないで、早く説明して…。)
(間違ってたらごめんね。さっきサタンの器が言ってた“ベルフェゴールの器を探せ”は…。)
ここからはサタンが業魔にした説明と全く同じである。
(……これはあんまり器に教えたくなかったなー。)
(なんで…?)
(約束したでしょ?美味しいものを沢山食べさせてあげるって…さ。)
(そう…だね。)
(ベルフェゴールの器ともし戦う事になったら、もしかしたら器は全てを奪われて死ぬかもしれない。ベルフェゴールが敵だったらだけどね。)
(全て…って。)
(器が僕を受け入れた理由を思い出してみなよ。)
(美味しいものを食べる為…。)
(そう。でもね…ベルフェゴールは人の欲や罪を奪う事が出来るんだ。だから器が食欲を奪われてしまったら…君は僕の器として機能できない。言うなれば僕の力を一切使わずにベルフェゴールと戦う事になってしまう。)
(器として機能できない…?)
(人間達は知らないのか…。それも、説明してあげるよ。)
(うん、おねがい…。)
(僕達悪魔が寄生出来る人間は限られているんだ。)
(限られてる…?)
(うん。例えば僕は暴食の罪を持つ悪魔だ。それなら僕と同じ暴食の罪や欲を抱えた人間にしか僕達は寄生出来ない。これは僕の眷属や七つの大罪の皆も同じだ。)
(そう…なんだ。)
(ベルフェゴールは僕達七つの大罪の中で唯一、残り5人の天敵なんだ。僕達が寄生してる人間の欲や罪を奪って、僕とかを無力化できるしね。…いや、サタンだけは…。)
(…?)
(ごめん、なんでもないよ。取り敢えず、ベルフェゴールの器と会ってもすぐ逃げて。)
(分かった…。)
そんな会話をベルゼブブとしながら私は帰路についた。
数十分歩いて家に着いた私はすぐに眠りについた。
そうして私が目を覚ましたのは午前2時頃、最悪の気分で目が覚めた。
「……ごめんなさい…。」
そこから私は眠りにつく事は出来ず、一度お風呂に入って、外に出た。
…流石にまだ暗いし、何より冷えるなぁ…。
…お腹、減ったな。
そんな時、朧げに浮かんできた昔の記憶…。
「ヴッ…、オェ…。」
暗い路地裏の真ん中で私は口を抑えて倒れ込んだ。
瞬間、私を囲むように数人の男性が現れた。
「貴女、悪魔に寄生されますよね…?」
「寄生、されてません…。」
「ちょっと、我々に着いてきてくれるかな?」
そうして私の体に触れた滅悪教の人間を私は…。
「触らないで…。」
その手を叩き落とした。
そして、私はその場から立ち去ろうとした。
そんな私に、数人の男性は…。
「止まりなさい。止まらないと悪魔に寄生された人間として対処しますよ。」
「殺すんでしょ。」
その言葉に誰も言葉を返さない。
「悪魔に寄生された人間として対処します。」
次の瞬間、数発の銃弾が私の頭目掛けて放たれた。
「超能力・暴食」
暴食の力 第三
目視した周辺の空間を食べる。そして食べた空間で起こっている現象、事象を逆転させる効果も持つ。
私はその超能力を発動して、放たれた銃弾周辺の空間を食べた。
そして、その空間にある銃弾を私ではなく、打ってきた滅悪教の人間がいる方向に逆転させた。
次の瞬間、私の頭目掛けて放たれた銃弾は滅悪教の人間達の頭を破壊した。
…やっぱり、悪魔を滅する為に開発された悪魔殺しの銃弾だった…。
そして私は滅悪教の人間達の屍を食べた。
「超能力・暴食」
暴食の力 第二
口を開くように手を上下に開き、そして閉じる。手を閉じた時に相手をその手の中に収めておかないといけないが。その特定の行動をした場合、生き死にに関わらず、ベルゼブブの胃の中に強制転移する。
今回は、人間だったがベルゼブブが食べれると判断したものは全て胃の中に転移する。
ベルゼブブが暴食の罪を抱えることになった一つの理由で、魔界の中でもTOPクラスに君臨する超能力の一つである…。
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