八話目 無慈悲な実力差

翌日、俺は早朝の4時頃に目を覚ました。


4時か…。


…いつもなら寝るとこだけど、動くか。




そうして、家を出て俺が向かったのは街から数十㎞は離れた山の奥だった。


…悪魔に寄生される前の俺なら、こんな距離は移動できなかった。…そもそも、街から出ようともしなかった。



…山の奥に向かったのには1つの理由がある。








それは…サタンのもう一つの超能力、それを試す為だった。


サタンから教えられた傲慢の超能力 第二。


無機物、有機物、人間、ま、何でも例外なく命令を下す事が出来るという力。



俺も最初に聞いた時は意味が分からなかったがすぐに理解した。



そう、簡単に言えば念力だ。


木に前へ飛べと命令したら前へ吹き飛ぶ。


なんでもありの命令ってことだ。



俺はその力がどれ程のものか山に試しに来たのだ。



次の瞬間、俺は目の前に聳え立つ巨木に命令を下した。


「取り敢えず…、埋まれ。」


瞬間、巨木はみしみしと音を立てて地面に深く突き刺さって、数秒後に巨木は完全に地面に埋まった。




そうして俺は…。


“ドロ…”【血が流れる音】


「は…?」


目や口…さらには耳から血が出てきていた。


次の瞬間、強烈な痛みが全身を襲った。



「…っな、なにが起こって…。グッ…。」


強烈な痛みに耐えられずうずくまっているとサタンが口を開いた。



(やはり…。貴様にはまだ耐えられなかったか。)


(どういう…ことだ?)


(貴様の本来の肉体がこの程度の力にも耐えられない程貧弱だという事だ。)


(そういうことかよ…。)



それなら、納得…だな。サタンに寄生される前の俺は家からは殆ど出ず飯を食って寝る位しかしなかった。それに仕事もしていなかった。


金だけは、余る程あったから…。



こんな事になるなんて思ってなかったからな…

今までだらけてた…その、つけがここで来た。


超能力なんかより先に自分の体を鍛えなきゃいけないなんてな…。



…やってやる。


そうして俺は立ち上がった。


(小僧、死にたくないなら超能力より先に体を鍛えるんだな。)


(そのつもりだ…。このままでいられるかよ。)


…まずは、走るか。


そう思考して山の中を走り始めた。




“12時間後”


「はぁ、はぁ…。」


あれから半日、俺は常に全力で走り続けた。



「流石に…疲れたな。帰るか。」


そう言葉を零した瞬間、途轍もない数の気配が辺りに現れた。


…なんだ?



瞬間、森の中からぞろぞろと見知った服装の奴等が現れた。


そいつらは俺にこう言った。


「貴方は悪魔に寄生されています。だから…、ここで死んでください。」


「証拠は?」


「悪魔に寄生された人間とそうでない人間を見分けられる方が我々にはいるので。」


「…まぁ、間違ってないな。」


「では、死んで下さい…。」


瞬間、数百人はいる滅悪教の人間が一斉に襲い掛かってきた。



…瞬間、俺は言葉を紡いだ。


「ひれ伏せ愚民共、俺は王だぞ。」


と…。


その言葉を発した瞬間、辺りにいた数百人の滅悪教は地面に叩き付けられた。


「俺はお前らなんかと遊んでる暇なんて俺にはないんだよ。じゃあな愚民共。」


そう言って、俺はその場から跳躍した。



跳躍して、俺は空中で本音を零したいた。


「俺はお前らを絶対に許さない…。」














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