六話目 怠惰の王
「…うー!美味しい!やっぱりここのパフェは絶品ですね!」
…どうしてこうなった。
“数時間前”
「話は終わった事だし、解散するか。」
「そうですね…。」
瞬間、目の前の女から何かの音が響いた。
“グー、キュルキュル…”
そんな馬鹿みてぇな音がな。
「あの…、お礼も兼ねてご飯行きませんか?」
「礼?なんのことだ…?」
「私の話、聞いてくれたじゃないですか。」
「生憎、腹は減ってないんだ。」
「私の奢りです!」
「行くぞ。」
そうして、近くのファミレスに入り俺は。
ハンバーグ定食、ブラックコーヒー、そして食後のデザート、苺パフェを頼んだ。
数十分で全てを食べ終わり、初めて女の方を見ると、俺の三倍は食べていた。
「よく、食べるんだな。」
その言葉に女は料理を頬張りながら答えた。
「そうですか?朝から何も食べてなかったですし…お腹減ってたので。」
…それにしても食い過ぎだろ。大食いファイターと、どっこいどっこいじゃないか。
ま、こいつの奢りだし俺には関係ないけどな。
そうして、数多くの料理を1人で食べて、女は真剣な眼差しで俺を見た。
そして、言った。
「貴方はどうやってサタンと出会ったんですか?れ
「サタンの事か?それなら路地裏で急に…だな。急にどうした。」
「いや、私と同じ様に出会ったのか気になって。」
「そういうお前はどうやってベルゼブブと出会ったんだ。」
「私は…。」
「……。」
「殆ど同じです!」
「なら何で受け入れた。俺は殆ど受け入れてないつもりなんだけどな。」
「それは…、“僕を受け入れたら美味しい物がいっぱい食べられるよ”って言われて…。」
……こいつはアホだ。少しでも知的な印象を持っていた俺が馬鹿だったみたいだ。
こいつは正真正銘のアホだ。
「…もしかして、アホだなって思ってます?」
「よく分かったな。…あぁ、思ってる。」
「否定出来ないのが腹立ちます…。」
「否定も何も事実だろ。…じゃあ飯も食い終わった事だし帰るか。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!まだ食べ終わってません!」
「は?」
次の瞬間、次々と料理が運ばれてきた。
「おい、さっきまで馬鹿みたいな量食ってたじゃないか。なんだこれ。」
「さっきのは前菜ですよ。今からがメインディッシュです。」
「やっぱりお前はアホだ。」
そうして現在に至る。
こいつはメインディッシュを食べ終わった後、“食後のデザートを”と言ってまた物凄い量注文した。
…もう、18時じゃないか。今日はずっと家の外にいるな。
珍しい事もあるもんだ。
そんなことより…。
(サタン、話がある。)
(なんだ、小僧。)
(さっきの話、戦争ってどういう事だ。)
(聞いていたのか。)
(偶々だ。一瞬聞こえたもんでな。で、戦争ってどういう事だ。)
(ゲートを強制的に閉じた愚か者は1人ではない。これはベルゼブブも気付いていると思うが、世界同士を繋ぐゲートを強制的に閉じるなど我等にも1人で出来る芸当ではない。必ず複数でゲートを閉じている。…戦争はその者たちとの事だ。)
(それならおかしいだろ。世界同士を繋ぐゲートを複数人でも閉じれる奴らのオーラがなんでお前にも分かんなぇんだよ。)
(貴様にも分かったか。そうだ、それが疑問なのだ。我等七つの大罪ですら1人ではゲートを閉じるなど出来ん。少なくとも我と同じ程度のオーラと実力を持つものが最低3人いなければ不可能だ…が、そんな強大なオーラを我は感じていない。)
(……。)
(これは最悪の想定だが、我等七つの大罪に1人だけ、隠蔽する事が出来る力を持つ者がいる。)
(…は?誰だ…?)
(周辺にいる全ての生物の力を一時的にでも全て奪う悪魔…。怠惰の罪を刻まれた…。)
(それって…。)
(怠惰の王、ベルフェゴールだ。)
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