第21話 真彩のストーカー、現る
【ハーモニー社・社長室】
夜、遅くまで社長室で仕事をしている真彩。
秘書の優衣は、用事があるからと先に帰り、社長室には真彩、一人。
真彩、PCに向かって資料作成の為、文字入力している。
『トントン!』
社長室のドアをノックする音。
真彩「はい、どうぞー」
ドアを開けた人物を、PCディスプレイから顔を出して見る真彩。
すると、中村悠斗(真彩の兄)が、笑顔で入って来る。
悠斗「マーヤちゃん、元気???」
そう言うと、社長室を見渡す悠斗。
悠斗「ここが社長室かー。あんまり物、置いてないんだな。殺風景だな」
と言うと、悠斗、手に持っている紙袋を応接テーブルに置く。
真彩、不機嫌な顔になる。
真彩「何の用ですか?」
と、冷たく言う真彩。
悠斗「えぇー? 可愛くないなぁー、その言い方!」
悠斗、ちょっとすねた感じで口を尖らす。
悠斗「全然、電話に出てくれないし、LINEも返してくれないからさー」
と、ふてた感じで言う悠斗。
真彩「もうー……」
悠斗の言葉に呆れている真彩。
悠斗「『もうー』はないでしょ? 本当は俺に会いたくてしょうがないくせに」
と言って、ニコニコ顔の悠斗。
真彩「その自惚れ、過信はどこから来るんだろうね?」
と、真彩、皮肉を言う。
すると、悠斗、真彩のデスクに来る。
真彩「?……」
椅子に座っている真彩の背後から抱き着く悠斗。
そして、悠斗の右手が真彩の右胸を覆い、触診するかの様に触っている。
右胸が終わると、今度は、左胸を触りに行く。
そして、同じ様に触診めいた事をする悠斗。
悠斗「うん。しこりは無いな」
真彩「?……」
そして、
悠斗「愛してるよ、真彩」
と、真彩の左の耳元で囁く悠斗。
真彩の弱点である『耳元の囁き』に、身体が直ぐに反応し、左肩を上に持ち上げ、くすぐったがる。
真彩、悠斗の手を除けて、
真彩「もう! 忙しいのでお帰り下さい!」
と怒った感じで、強い口調で言う。
悠斗「えぇー、相変わらず冷たいなぁー……そんなにツンツンしなくてもいいだろ? あんなに愛し合った仲なのに……」
悠斗、拗ねた感じで言う。
呆れ顔の真彩。
真彩「もう、過去の事でしょ?! 終わってるの、私達は!」
悠斗「俺は終わってないよ?!」
真彩「もう、知らない!」
と言って、再び、PCのキーボードを打ち出す真彩。
悠斗「チエッ、冷たいなぁー。でも、今日は帰るとするか……」
と言うと、無理矢理、真彩の唇にキスをする悠斗。
真彩、驚いた顔をする。
悠斗「真彩、愛してるよ!」
と言って、微笑む悠斗。
そして、ドアに向かって歩き出す悠斗。
悠斗「あぁ、それ、真彩の好きなマドレーヌ。愛するお兄様の顔、思い出して食べてね!」
応接テーブルに置いた紙袋を指差す悠斗。
悠斗「じゃーねー」
と言って、悠斗、笑顔で去って行く。
ドアが閉まると、真彩、下を向き、肘をデスクに着け、両手で頭を抱える。
真彩(心の声)「何で来るかなぁ……?」
【高槻レオマンション・806号室】
家に帰った真彩。
缶ビール片手に夜景を見ている。
リビングには、昔の洋楽、Hotel California の曲が流れている。
真彩「何で私を苦しめる? 辛いよ……バカ……」
真彩の目から涙が零れ落ちる。
(回想始め)
【中村家・真彩の部屋】
悠斗(18歳)、ベッドで横になって泣いている真彩(13歳)の上に覆い被さり、キスをし、首から順に下へと真彩の身体を愛撫し始める。
悠斗「真彩、大好きだ」
真彩「……」
真彩の目から涙が零れ落ちる。
(回想終わり)
真彩「悠斗のバカ……」
真彩、苦悩の表情。
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