第16話 真彩の YouTube チャンネル
【ハーモニー社・営業部1課】
朝、ハーモニー社・営業部1課の杉山、前田、光が、それぞれのPC画面を見ている。
Excel で作られた表を、食い入る様に見ている三人。
前田「スゴッ。各店舗の取組み一覧表……皆んな目標達成に向かって本気ですね……」
杉山「あぁ、でも、何がどうなってる? 社長変わっただけでこんなに活気出て……」
光「社長の人柄ですね。毎日巡回して困ってる社員がいたら助けに行って……全国の店舗の皆さんともリモートで『元気?』って友達みたいな関係になってますから……」
杉山「えぇ?……そうなん???」
光「はい。店舗にいる同期が言ってました。皆んな、社長のファンになっちゃったって……」
杉山「えぇ? こんな短期間で? 人たらしか? 女版、豊臣秀吉か?!」
光「女版、豊臣秀吉?」
杉山「あぁ……人を上手く味方につける才能があるって事。豊臣秀吉は、人の心をつかむのが上手かったらしいわ」
光「女版、豊臣秀吉ねぇー……」
前田「あぁ、そう言えば、社長の YouTube チャンネル、始めるそうですよ?! 会社の宣伝の一環だそうです」
杉山「えぇ? 何すんねん?」
前田「さぁ? 俺も詳しくは知らないですけど、企画課の髙橋さんが番組のディレクターで、色々な事を社長にさせるそうです。社長はマジで嫌がってましたけど……」
【特別会議室】
ハーモニー社・特別会議室には、YouTube チャンネル作りの為に選ばれたメンバー、十人が集まっている。
この企画を考えたのは、営業部・企画課の髙橋勇也(23歳)だ。
勇也「それ良いですねー! それしましょうよ! 決定ー!」
と言って笑顔の勇也。
勇也は、小さい頃から遊び心満載の、芸術センスに優れた人間だ。
その勇也が、若いながらもこのプロジェクトのリーダー兼責任者となり、会長公認だ。
真彩もこの企画を、嫌々ながら承認している。
真彩が何故、嫌々なのかと言うと、自身も参加させられて、色々遣らされると分かっているからだ。
しかし、ちょっとでも会社を活性化し、宣伝になればと、捨て身で遣る事を決意した真彩だった。
今、勇也が中心となり、企画会議、真っ最中。
毎週、水曜日の昼食時に、生配信する事となる。
そして、その生配信を後で編集し、録画分をYouTube やインスタにアップする事となる。
自由な、色んな意見が飛び交い、突拍子もない面白い案に、笑いが起こっている。
勇也、面白い案に、お腹を抱えて笑っている。
【社長室】
ハーモニー社・社長室では、真彩がPC画面に向かい、腕を組んで思案中。
優衣が真彩を見て、
優衣「YouTube チャンネル、大丈夫なんでしょうかね?」
と、首を傾げて言う。
真彩「あぁ……何をさせられるんだか?……変な事、させられそうな気がする……嫌な予感するんだよね……きっと、丸裸状態にされるんだろうなぁー……」
優衣「あぁ……彼の発想、普通じゃないですからね……突拍子もない事、考えるから……」
真彩「普通じゃないもんね……昔から。でも、普通じゃないから面白いんだよね」
優衣「この前、言ってたのは、USJでダンサー達の真似して踊って貰うって。あと、新商品の販売イベントして、着ぐるみ着て、ユニット組んで踊って欲しいとも言ってたなぁー」
真彩「えぇ? そんな事???」
優衣「はい。そんな事……」
真彩「はぁ……前途多難……何しでかすか分からんって、怖いね……」
真彩、PCのキーボードを叩き、文字入力しながら話している。
真彩「まぁ、でも、頑張って企画、考えてくれてるから、彼に従わないとね……会社の宣伝に関しては、彼に全面的に任せてるから……」
優衣「でも……大丈夫かなぁー?……時々、暴走するから……」
真彩「でも、彼の発想力と行動力は、秘書さんが一番よく知ってるでしょ?」
優衣「……あぁ……まぁ、そうですけどね……」
真彩「不安な面はあるけど、でも、私は、彼の能力を信じてるから……彼は、人並み外れた勝れた才能あるもんね……」
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