第3話
いつもの帰り道を、ふたり並んで歩く。
今日はどこに寄り道するのだろう。
「放課後デートみたいだね」
デートではなくただの帰路なのだが、そんなことを言うと「ダーリンってばノリ悪い」とまた茶化されるだけだ。
「はいはいそうですね」
僕の返答に満足したのかしていないのか、逆光でその表情は読み取れない。
「今日は否定しないんだ。なになに、本当に付き合う気になった?あれ、悠生って今彼女いないよね?というか、悠生の恋愛事情って聞いたことないかも!」
急に早口で捲し立てる。デートうんぬんは、否定しても肯定しても茶化されるのだと知った。正直僕はこの手の冗談が好きではない。僕自身、誰かと付き合ったことは無いし、好きでもない相手を彼女にする予定もない。
「お前さ、そろそろそのノリやめたら?大人しくしてればきっとすぐ告白でもなんでもされるだろうに、なんで僕なんかと夫婦ごっこ続けてるんだよ」
「えー、だって悠生と寄り道しながら帰るの好きなんだもん」
凛は拗ねたように口を尖らせる。僕は目を逸らして告げる。
「僕、あの夫婦ノリ苦手なんだけど」
「いいじゃん別に」
ふくれっ面で僕の腕に絡みつく幼なじみを振りほどく。いつもこいつは距離が近い。本当に僕のことが好きなんじゃないかと錯覚しそうになる。そんな自分が馬鹿馬鹿しい。
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