【甘い】スイーツの印象のが強いよね【甘々すぎる!】
「ハァイ、皆の衆ジョージの酒飲みチャンネルのお時間だ」
「ハァイ!」
『ハァイ』
『わこつ』
『ホットプレートと山盛りの唐揚げと野菜スティックに3つのボウルとワイン?』
『ボウルが異質』
「おっとスマン、出すの忘れてた」
言われて気付いたが、テーブルの上には今日使うものがまだ揃っていなかった。近くに用意はしていたので少しだけ席を外して今日の料理の具を揃える。
持ってきたのは2つの皿。そこに盛られている片方の皿は戸中山ダンジョンで採ってきた
果物を薄切りにしたり、ブルーベリーなどそのままの形の物を俺の持ちうるセンスで綺麗に並べた皿。もう片方の皿はハム・ソーセージ・ベーコンといった肉類にスクランブルエッグやグリーンサラダやツナマヨといったものまで、所謂おかず系の皿だ。
あぁ、あともう1つ――これは皿ではないけれど生クリーム絞り袋。これ等が全て揃ったところでコメント欄は的を得たかのように速度が増した。
『はぁん、クレープか』
『スイーツだけじゃなくておかずの方もかい』
『ジョージスイーツ作れんのか』
「実は初めての試みなんだよね……」
生まれてこの方、自分からスイーツを作ったことは皆無に等しい。強いて言うならば小学校の頃にホットケーキを作ったくらいだ。だがしかしお菓子、俺には少なくない自信がある。それは以前お好み焼き……それも広島風お好み焼きを作った経験があることだ。あれの生地、言ってしまえばクレープみたいなものだからね。
「広島風お好み焼き作ったことあるならクレープくらい朝飯前でしょ」
『盛大なフラグを立てやがる』
『そこには破れたクレープの前で項垂れるエルフの姿が――!』
「で、できらぁ!」
ちくしょうめ、みんなして俺が失敗すると思い込みやがって!オーロラもどこかそわそわしているんじゃないよ!やってやろうじゃないか、俺の持てる技術をフル活用して綺麗なクレープを作ってやる!
・
・
・
「めちゃくちゃ綺麗な円が出来たが」
『はぁ~(クソデカ溜息)』
『失敗するところだろうがよお前よぉ!』
「理不尽では?」
「ジョージ、オヤクソクは守らなきゃ」
「オーロラまで!?」
俺はただ綺麗なクレープを作っただけなのに……解せぬ。
まぁそんな茶番を繰り広げたところでクレープだよクレープ。そもそも何故ボウルが2つ用意されていたのか。それは1つがオーロラが待ち望んでいたスイーツとしてのクレープ用の生地とおかずとして食べることのできるクレープの生地を別々に作ったからだ。ちなみにおかず用は米粉を混ぜてある。
とりあえず最初の2枚はオーロラ用の甘いクレープ生地と俺用のおかずクレープ生地を作ったわけだ。慎重に持ち上げて皿に移して……これで準備完了だ。
「さぁ、オーロラ。好きにデコりな。ただし、手巻き寿司同様あまり欲張るんじゃあないぞ」
「ワーイ!」
ゴーサインを出されたオーロラがまず最初に手を伸ばしたのは、生クリームか。なるほど、時点はチョコとバナナ。いい組み合わせだと褒めてやりたいところだ。
そんじゃ、オーロラが楽しそうで何よりということで俺も包みますか。えーっと、まずはグリーンサラダ載せてその上にスクランブルエッグ敷いて……ソーセージ乗っけてケチャップとマスタードをかけて……ちょっとしたホットドッグ完成だ。
「むぐっ、美味い」
噛みつくとパキっとソーセージが弾けて肉汁があふれ出すが卵がそれを受け止める。さらにグリーンサラダのシャキシャキとした食感が心地よい。それをひとしきり堪能したところでグラスに注いだ赤ワインをグッと流し込み、ため息が零れる。
「アハハッ!ジョージ、顔にケチャップついてる!」
「んおっ?マジか。ってオーロラさん?」
『オーロラちゃんに鏡見せてあげたい』
『赤ちゃんみたいになっとるw』
「エ?」
おかずクレープを食べた時に付いたのだろう、頬に手を当てると確かにネチャッとした感触があった。それを見てケラケラと笑うオーロラだったが、その顔にはクリームがそれはもうべったりと付着していた。牛乳飲んだ時にできる髭の酷いバージョンだ。
俺の指摘でようやく自分の状況に気付いたのか、鏡――はないから、パソコンに映っている自分の顔を凝視して一言。
「ワォ」
「ほら、ティッシュで拭きな」
「アリガトー」
『そこはジョージの指で拭き取ってペロッてやりなさいよ』
「この量を!?」
かなりもったりとついてるんですが!?しかしオーロラはどう食べたらそんなクリームが付くことになるんだよ。もはやギャグ漫画みたいな光景だぞ。トゥーンワールドの住人だったのか?
まぁそれだけ一心不乱に食べていたということならクレープは美味しかったのだろう。生地だけとはいえ作った甲斐があったと言うものだ。第一弾のクレープを食べきったオーロラの次の狙いは唐揚げだ。そうだよな、甘いもの食べたらしょっぱい物食べたくなるよな、分かる分かる。
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