【広島】ジョージ大将のお好み焼き配信【大阪】

「ィヨイショォ!」

『よいしょぉ!』

「ホイサァ!」

『ほいさぁ!』

「はい、マヨネーズ」

「チョイサァ!」

『ちょいさぁ!』


 お祭り会場ではありません。オーロラがお好み焼きを作る際に何かしら気合の一声を上げるもんだから視聴者が合いの手の様なコメントを上げる様になっている。


 さて、オーロラの手際だが存外悪くない。一度見本として俺が作って見せたが、拙い手際ながらもしっかり形になっている。ちなみに最後の「チョイサァ!」は出来上がったお好み焼きの上にマヨネーズをかけた時の物だ。……俺、普通にかけていたはずなのにオーロラはお店で料理人がやるみたいに凄い綺麗にかけてた。どこで学んだし。


「おアガリヨォ!」

「食べるの自分でしょうが」

『見事にミニチュアサイズ』

『可愛いサイズだなぁ』

『すいません、商品化はまだですか?』

『1000円までなら払うぞ』

「払えるのか……」


 そうして出来上がった2枚のお好み焼き。今回は俺もオーロラも特に特別な物を入れていない所謂豚玉だ。この後も色んな奴を作れるからな。いやぁ、我ながら出来上がったものを前にお預けされるのはキツかった。でも、頑張って作るオーロラを差し置いて食べるのも何か違う気がした。まま、我慢できたから良しとしよう。既にビールも準備済みだ。

 

「乾杯!」

「カンパイ!」

『かんぱいー』

『kp』


 乾杯の音頭を取ったところで食べる用のヘラでお好み焼きを切り分ける。口先まで持ってくるとその熱気がありありと伝わってくる。約30年生きてきたオレには理解わかる。これ、いきなり口に放り込んだら火傷する奴だわ。いやぁ、危ない危ない。


「アツゥイ!」

「行ったんかこいつ」

『こうして人は学んでいく』

『妖精だけどな』

『フーフーしないで食べたらそりゃマグマでしょうよ』

「ウウウ……でも、美味しい……」

「そうか、ならよかった」


 自分で作り上げたお好み焼きに一矢報われたが、すぐさまビールを流し込んで冷やし、改めて口にしたお好み焼きはお口にあったようだ。感慨深いのか、単に熱かったのがまだ辛いのか、オーロラの目は少し潤んでいた。

 どれ、俺の分も食べれるくらいには冷めてきたから大口を開けて口内にご案内。ムムッ、十分に冷ましたと思ったが、中はまだまだ熱いな。


「ハフッ、アフッ」

『ふーん、〇っちじゃん』

『ジョージさぁ、ASMR興味ない?』

「ングッヌグッ……ぷはぁ。ASMRってあれでしょ?こう……川のせせらぎの音とかプチプチの音とか」


 熱々のお好み焼きをなんとか飲み込み、その熱さをビールを流し込むことで一気に冷ます。これ気持ちいいんだよな。

 さて、ASMRは名前を聞いたことはあるが、実際に動画を見たことは無いな。


『世間には咀嚼音のASMRというものがあってじゃな?』

「え、それを俺にやれと?やだよ?」

『せめてマイクに向かって甘い言葉を囁くというんでも』

「お客さん、うちそういうお店じゃないんですよー」


 俺の発言に残念そうなコメントが流れるが、諦めていただきたい。ジョージの酒飲みチャンネルは、飯食って酒飲みながら駄弁る配信なのだ。仮に需要があったとしても俺がやりたくないのでね。

 しかし美味いなぁ……キャベツの甘みや豚肉の香ばしさ。焼きそばも食べ応えがあって美味しい。


「ジョージ!食べた!」


 オーロラの声に、そちらに視線を向けてみると確かにオーロラのお好み焼きは綺麗さっぱりなくなっていた。オーロラの口にソースをつけたままだが、どこか満足そうだ。


「そうかそうか、美味しかったか?」

「ウン!美味しかった!でも――全然足りない!ジョージのサイズがいい!」

「アッハイ、心を込めて作らせていただきます」

『予定調和』

『そら足りるわきゃない』

『知ってたw』

『甘えてるんだよ』


 コメントにも書かれていたが、正直に言えば俺も予想は出来ていた。あんだけ食べておいて今更オーロラサイズで満足するわきゃない。それじゃあ作ってやろうじゃないか!

 ――とは言ってもオーロラにも何かしらをやってもらわなければね。


「それじゃ、オーロラはこれ頼むね?」

「ナニコレ?」

「イカのゲソだ。オーロラにはお好み焼きで使ってないスペースでイカゲソのバター醤油焼きを作ってもらおう。出来るね?」

「デキル!」


 お好み焼きというそこそこ大変な料理を達成させたオーロラの目には自信が宿っていた。フッ、成長したじゃあねぇか。それじゃあこのゲソとバターと醤油はオーロラに託す!


「じゃあオーロラ、次は何食べたい?」

「タイショウのおすすめ!今忙しい!」

『大将w』

『ジョージ大将、頭に捩りタオル巻かなきゃ』

「一応用意はしてるけども……」

『あるんかい!』


 ネタのために用意していて、結局使わないと思っていたんだが……出番あったなぁ。そういう訳で俺は一時ではあるが、大将となり俺おススメのお好み焼きを作ろうじゃないか。そうだな――


「それじゃあ大葉チーズと折角広島風なんだから牡蠣入りも作っちゃうぞー!」

『大葉入れるのブレねぇな』


 おすすめ言ったからね!!!

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