【ボウズ?】今日の釣果【大漁?】
「いやはや、今日は疲れたなぁ……」
「――」
ポーションを飲んで体力も回復したところで、あっさりと俺達は帰ることを許された。残りの調査は萩原さんたちのお仕事だ。俺からは十分な情報を聞き出せたから帰ってもいいんだと。剣歯虎もといキバオの死体は武道さんが持ち帰ることに。ただし、武道さんの筋力では持てそうになかったので、車までは俺が運んでいった。
さて、こうして疲れて帰ってきたわけだけれども、配信の予定を崩すつもりはこれっぽっちも無い。既に料理の準備も配信の準備も出来ているのだが、配信待機所では見逃せない情報が流れていた。
『ダンジョンの外に剣歯虎とかヤバ』
『よー被害出んかったわ。相対したら逃げられる気しねぇw』
『これ捨てた犯人人生終わったな』
『討伐した冒険者って公開されてんの?』
『しらね(゜⊿゜)』
『どの記事見ても不明っぽい。でも倒されたのは間違いないんだって』
はい、もうニュースになっていました。
どうにも石田大地が逮捕されたことがニュースとなって、その原因がキバオを逃がしたということが判明し、じゃあそのキバオの行方は?となって何者かに討伐されたから安心してって感じで報道された。幸い、俺の名前は全く出なかったようだ。これ以上話題性はいらないからね。
そろそろ配信を始めようと思うんだけど……念のために腕やら脚やら露出した肌を確認する。散々剣歯虎に斬られて切り傷だらけだったが、ポーションを飲んだ結果、玉のような肌は見事に復活していた。男の時であれば、「キズは男の勲章!」みたいなことを言っていたんだろうな。今はそんな気は無いが、女性の思考に引っ張られてきている?
何か引っ掛かる気がするが、そろそろ配信予定時間だ。オーロラと協力して今日のご飯を机に並べてっと。配信開始!
「ハァイ、皆の衆ジョージだよー」
「――♪」
『ハァイ、ジョージィ』
『キタアアアアアアアアアアアア!』
『待ってた』
『オーロラちゃああああああああん!』
いつの間にか定番の挨拶になったなぁ……名前的にもピッタリだし特に視聴者からもツッコミは無いしこのままこの挨拶にしておこう。
『ジョージ、剣歯虎の事件知ってる?』
「あー、知ってる知ってる。ヤバいよねぇ剣歯虎って結構デカいんでしょ?か細い俺じゃ絶対無理だよ」
『リンゴ片手で握りつぶすエルフがなんか言うとる』
『抜かしおる』
『えぇ!剣歯虎斃したのジョージじゃないんですかぁ!?』
「そーんな、ピンポイントで出会うか!」
ピ ン ポ イ ン ト で 出 会 い ま し た。
こんな感じで否定しておけば俺が斃しただなんて露にも思わないだろう。さ、剣歯虎の話題はさっさと流して今日の料理についてだ。
『見事に魚魚魚』
『ジョージマジで釣りに行ったんかw』
「釣りしたかったからね」
『鮎とアマゴ?えぇ?よく釣れたなぁ』
『真ん中のアルミホイルはホイル焼き?』
「おっ、お目が高いねぇ」
今日のメニューは昼間に釣り上げたアマゴの塩焼きと鮎の炊き込みご飯。そして、イワナのホイル焼きだ。その中でもホイル焼きは未だアルミホイルで包んだままなので、視聴者からは中身が見えていない。理由は勿論、開封した瞬間が一番盛り上がるからね。……中身的にも
ちなみに合わせるのはビールとワインだ。
「それでは、いざ開封!」
「――!」
俺とオーロラでアルミホイルの両端をつまみ、一気に引っ張る。途端に立ち上る湯気がカメラを覆う。
『驚きの白さ』
『見えねぇなにも見えねぇ』
『未来も見えねぇ』
『つよくいきてくれ』
『俺たちがついてるから』
『温泉配信まだですか?』
温泉は個人的に行きたいところだけど、釣りや買い物よりもハードルが高い。それにほら……ね。
そんなことはさておき、ホイル焼きだ。大きなイワナにいい具合に火が通って見た目的にも匂い的にも食欲をそそられる。周りには香草やキノコを散りばめ、イワナの旨味を引き立てていることだろう。それに……イワナの下に溜まった汁も美味しそうだ。が、そんなホイル焼きの中に一際目立つ存在がいた。
『なんか変なのない?』
『異 物 混 入』
『こいつまたマジカルマッシュルーム料理に入れてやがる!!!!!』
「いいでしょ」
「――♪」
『羨ましいのは羨ましいけど……』
『ホイル焼きの外見ぶち壊し過ぎでは?』
それに関しては同意だ。そもそもマジカルマッシュルームが見た目毒キノコ然としているからね。これをマジカルマッシュルームと知らなかったら誰でも食べるのを拒否することだろう。それ故に異物混入のコメントはピッタリだな。
だがまぁ一度食べたことがある身からフォローすると、ちゃんと美味しいんだからな?見た目が最悪なだけで!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます