マンドラゴラの影響
昼になってお腹がようやく引っ込んだので、昼飯抜きで今日も来たよ韮間ダンジョン!さーて、今日はどれくらい進むことが出来るかなぁ?なんて意気込みながら進んだ俺達。モンスターを倒しながらどんどんダンジョンを進んでいく中で、勘違いで済まないほどの変化に気付かされた。
「ふっ!」
「ギギャァ!?」
俺の放った矢によって眼球を貫かれたホブゴブリンは成す術もなく撃沈した。……うーん、気のせいじゃない程当てやすくなってるなぁ。昨晩、マンドラゴラの浅漬けを食べた時に感じた目の影響は勘違いでは無かったようだ。弓を引くと不思議と視界がFPSゲームの様なスコープを覗いたようになるのだ。照準を合わせて矢を放つと――寸分違わずそこに命中すると。
マンドラゴラを食べたことで発生したであろうこの影響。これは俺だけではなくオーロラにも発生していた。
「――!!」
「フゴゴッ!?」
普段であれば火傷させて終わりな火球を放ったはずが、その火球が当たった瞬間オークがガソリンをぶちまけられた後に点火させられたように燃え上がった。これには撃ったオーロラもポカン顔だ。ただ恐ろしい話なのが、オーロラがやろうと思えば素の状態でオークをこんがりまる焦げにすることは出来るとのこと。それをやらないのはちょっと疲れるし――食べられなくなるからだそうだ。そうだね、そうなると俺も悲しいよ。
「それにしても、マンドラゴラのおかげかどんどん進めて行ってしまうなぁ」
「――」
悲しいかな、強化してしまった俺とオーロラに韮間ダンジョンは恐れる程では無くなってしまった。まぁ出てくるのが大体、道中で出てくるのがゴブリン・オーク・ミノタウロスだからね。一部ゴブリンの上位種を除けばそこまで足が速いモンスターがいないから落ち着いて対処すれば突破できるダンジョンなのだ。
当然、俺達が進んでいく中でミノタウロスにも遭遇したんた。
「牛!ヤドリギの矢で顔をぶっ飛ばしたらタンも飛んじゃう!オーロラ、凍らせて!」
「――!」
って感じでオーロラに全身凍らして貰って死亡確認!してから氷を溶かしてそのお肉を解体させていただく。その巨躯あってミノタウロスの舌は普通の牛の1.5倍ほどの大きさがあった。これは……贅沢に牛タン丼が作れるのでは!?これほどの大きさなら俺とオーロラの分でもお釣りが出る。――そうだ、夜に武道さんが来るんだからご馳走しよう!フフフ、いいスペアリブも獲れた。……あ゛!冷蔵庫!家電方面も買い替え検討しないとなぁ。
・
・
・
「へぇ、ここがボス部屋」
「――」
俺達の目の前に立ちはだかるは、俺の何倍もの大きさを誇るデカく煌びやかに装飾された鉄の両開き扉。これはボス部屋と呼ばれるダンジョンの中でも飛び切り強力なモンスターが鎮座する空間へ繋ぐ扉だ。クラシックダンジョンでは、ほとんど存在しており戸中山ダンジョンの様なダンジョンでも少数ではあるが存在する。
ここに来るまで7回ほど階段を下ったが、ドラマらしいドラマは無かった。ホブゴブリンウォリアーもオークバリアントもミノタウロスメイジも敵では無かった。言うことがあるとするなら、ミノタウロスメイジは魔法撃つよりその杖で殴りかかったほうが強いんじゃないの?その筋肉は見せかけかぁ!?
さて、一般的にボス部屋へつながる扉の周囲はモンスターは発生せず、また遠くで沸いたモンスターが近づくことは無い。その特性を利用して休息をとることが一般的なのだが……時刻は16時か。そろそろ帰って武道さんを迎える準備をしなきゃいけないからさっさと入ってしまおう。ちなみに韮間ダンジョンに限らずダンジョンは大抵ボスモンスターの情報は出回っている。アカオオダイショウの例もあるから完全に信用するのも宜しくないが、そういうケースは滅多にない。
その上で、この先にいるボスモンスターが情報通りならば俺とオーロラに負けは無いだろうと踏んでいる。俺は本来であれば両手で力を込めながらゆっくり開けるであろう両開き扉を蹴り破り、すかさず矢を放った。矢は扉の奥へ吸い込まれ――何かに命中する音が耳に届いた。そして、その音を追いかけるように
「グギャァアアアアアアアアアアア!?」
命中したモンスターの悲鳴が、突風のようだった。が、それは俺達を害するほどではなく、ただ髪がはためくだけだった。
「よっしゃ!さっさと終わらせるぞオーロラ!ミノタン丼のために!あ、タンシチューもいいな!」
「――♪」
お前が食べられるモンスターならもうちょっとやる気が湧くんだけどな!可食部が無い己を恨んでくれゴブリンキング!俺達からしたらお前はミノタウロスの舌にも劣る!
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