【ぶっちゃけ】缶詰ちまちま【米欲しい】
「ハァイ、皆の衆!ジョージだぁ!いかがお過ごしかな!?」
「――♪」
『ハァイ、ジョージィ』
『テンション高いな』
『装備モールは楽しかったか?』
「楽しかったねぇ!」
装備モールで目一杯買い物をした翌日、コメントの通り俺とオーロラは極めてハイテンションで配信をスタートさせた。疑われそうだが、今日はまだアルコールは一滴も摂ってないからね。
視聴者に俺が昨日装備モールに行ったことを知っているのは単純な話、Twitterで装備モール公式アカウントが俺とスタッフの皆さんの集合写真を掲載して「巷で噂のジョージ様がご来店しました!」とツイートし、即バズったからだ。
『今日着てるその迷彩服は買った奴?』
「そうそう。いやぁ、最近の装備は動き易くていいね。相応の値段はしたけど」
『良い装備にはいいお金払わにゃ』
『ケチったら死ぬ世界だからな』
……すんません、男の時装備ケチってました。ほら、戸中山ダンジョンは比較的簡単なダンジョンだからね、山頂行かない限り安全だから。とはいえ、それで油断してアカオオダイショウと遭遇してしまったわけだけど。
おっと、オーロラが待ちきれないとばかりに用意していた御猪口を箸で叩くことで鳴らし催促してくる。お行儀悪いぞ?
「さて、今日のお酒は昨日オーロラが装備モールで選んだやつで獺祭!」
「――!」
『オーロラちゃんセレクトなの?』
『オーロラちゃん選ぶなら果実酒とかかと思ってました』
「果実酒もあったけどね?今日はこれが飲みたいんだって」
トトト……と軽い音を立てながらオーロラの御猪口に獺祭を注ぐ。その間にオーロラには机の上に用意された色んな種類の缶詰を開ける作業に入ってもらっている。そう、今日のおつまみは――缶詰ビュッフェだ!ちなみに今日のメニューは全部オーロラの発案だ。これをやりたいがために缶詰を大量に買っていたようだ。勿論、ダンジョン用もあるみたいだが……そこまで食べないように俺が見ておかなきゃね。
「オーロラ、ありがとう。俺の分も注げたから乾杯しようか」
「――♪」
「それじゃあ乾杯!」
「――!」
『kp』
『乾杯!』
『未成年だけどKP!』
『五臓六腑に染み渡る…ッ!』
御猪口を傾け、口の中に獺祭を迎え入れる。最後に飲んだのは5年前くらいだっけ?あの時と変わらず――いや、あの時よりも美味いな。そう感じるのはオーロラと飲んでいるからだろうか。そのオーロラは早速牡蠣の燻製漬けに手を伸ばしている。それじゃ俺はミックスオリーブ食べましょうかね。
「うん、滅茶苦茶――じゃないけど美味しいな」
『缶詰で劇的に美味しいってのはそうそうないよね』
『そういうのは高いのよ』
そうだよねぇ、装備モールで売っていたのはいいトコ1000円くらいのものしか売ってなかった。いいタラバガニの缶詰とか食べてみたくはある。うーむ、しかしオリーブと言えばどこかワインと合わせる印象があるが日本酒とも合うな。加えてベーコンと一緒に食えば……あぁ進む進む。
続いては砂肝とジャガイモのアヒージョの缶詰。これは開けると同時に魔法が作用し、温められた状態で食べることが出来るのだ。ただ、やけどギリギリまで温める必要はあるのか?いや、アヒージョは大体それぐらいの温度だけども。
「ハフッハフッうまっうまっ」
『折角の新装備汚れない?大丈夫?』
「大丈夫、これ撥水撥油だから。念のため、従業員に確認したから」
『買ったのって装備と缶詰と酒だけ?』
「んにゃ、ダンジョンに潜った時に役立ちそうなものも結構買ったよ。いやぁ、便利なものが増えてありがたい限りだよ」
『わかる』
『昔はダンジョンの中で安全確保するのとか本当に大変だったらしいからね。技術の進歩は命を救う』
ここで携帯トイレの事を話題に出さなかった自分を自分で褒めたい。語ったが最後、変態的なコメントが流れるのは目に見えてるからな。
『装備モールって女性用としてスカートも取り扱ってますけど買いましたか!?』
『ありますねぇ!』
『ガタッ』
『ズルッ』
『ステーン』
『転んでるやつおるな』
『買いましたよね?』
「いや、買わんて。こちとらおっさんだぞ?おっさんの意識あるのにスカートはキツイて。確かに装備のサイズは女性用になって何着か買ったけど全部パンツスタイルだよ」
案の定、スカートの話題を振られたが、既に対策済みよ!事前に考えていた台詞を返す。視聴者もそこまで本気じゃなかったようで、「チッ」だの「解散」だのスカートの話題はさらっと流れた。オーロラにもスカートのことは誰にも言わないことを言いつけているのでそちらも問題なし。ただ一瞬スカートの単語が出た時、オーロラの耳がぴくっと反応したのを俺は見逃さなかったぞ?
『明日はダンジョン行くの?』
「いやぁ、流石にすぐには行かないかな。他にも買ってるからそれの検証もしなきゃいけないし」
『しばらく戸中山ダンジョンは混雑するだろうしねぇ』
そうそう。ネットで各ダンジョンの混雑状況を調べてみたら戸中山ダンジョンが平日にも関わらず混雑状態になっていた。自分で言うのもどうかと思うが、俺目当てだろう。だから戸中山ダンジョンに行くのはしばらくお休み。
――戸中山ダンジョン以外には行くけどな!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます